最後は「異質を受け入れる耐性があり、受容性の高い組織『Tolerant』」である。
企業活動においては、これまで「3つの報酬」があると言われてきた。それは、「金銭的報酬」「地位報酬(ポスト)」、そして「仕事報酬」である。
そしていま、私たちは「4つめの報酬」を強く意識する必要がある。それは「感情報酬」である。お金でも地位でも仕事でもなく、自らの感情が充たされることこそが最高の報酬であり、それがモチベーションとなり、励みになる。
たとえば、「感情報酬」には、次のようなものが含まれる。
「敬意」…相手を尊重する姿勢を示すこと。
「共感」…相手の感情を共有し、シンパシーを伝えること。
「LOFT」なカルチャーにおいてなにより大事なのは、多様性(diversity)を受け入れ、活かすことである。
経営における多様性が重要であるという認識は、日本企業でも徐々に定着しつつある。「性別」「人種」「国籍」「宗教」「年齢」「学歴」「職歴」などの多様さを活かすことが、競争力強化につながることは間違いない。
しかし、「多様性の本質」とは、一人ひとりが持っている「違い」を認め、尊重し、活かし合うことである。
その大前提として、「個に対するリスペクト」がなければならない。「それぞれがそれぞれの持ち場で個性を活かすこと」こそが真の多様性である。
人は程度の差こそあれ「アンコンシャス・バイアス」(無意識の偏見)から自由ではない。たとえば、職場においても女性や若い人に対して見下したような態度をとったり、軽く扱ったりする管理職はいまだに多く存在する。
「違い」を認め、活かすためには、経営者や管理職がまっさらな気持ちで社員の一人ひとりと真正面から向き合い、「意見」とは「異見」であることを認識することが必要不可欠である。
「健全で良質なカルチャー」は「資産」であり「宝」
「LOFT」というカルチャーは、何かひとつ手を打てば生み出せるような簡単なものではない。
さまざまな要素が複雑に絡み合い、相互に影響を及ぼし合うことによって、目には見えないが「健全で良質なカルチャー」が生まれる。それは会社にとってきわめて大事な「資産」であり「宝」である。
「LOFT」なカルチャーを作るための、さらに具体的なポイントは、新刊『「カルチャー」を経営のど真ん中に据える』で詳しく解説したので、ぜひそちらを参照してほしい。
「VUCA(ブーカ)」と呼ばれる先の読めない不透明な環境の中で企業が生き残っていくためには、「変化対応力」「柔軟性」がますます重要となる。
そのためには、「LOFT」なカルチャーを醸成し、これまでとはまったく異なるカルチャーを持つ組織へと変身することが不可欠なのである。
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