2つめは、「開放的で風通しがよく、壁のない組織『Open』」である。
大半の企業は、ヒエラルキーで動いている。そこには上下関係があり、階層化が存在する。現場で働く社員から見れば、社長や役員は「雲の上の存在」である。物理的にも心理的にも「大きな壁」が存在するのは至極当然である。
だからこそ、私たちはそうした壁を取り払い、経営と現場が一体となった組織となるような努力を積み重ねなければならない。完全に壁をなくすことは不可能かもしれないが、壁を低くする地道な努力を続けなければ、オープンでフラットな関係など構築できるはずもない。
また、組織の「カルチャー」を刷新するために有効な「形」のひとつが、「ポジティブな言葉、表現、言い回しをみんなで心掛ける」ということである。
たとえば、思うような成果が出なかったあとの会議で、批判的、否定的な言葉ばかりが飛び交えば、自ずとみんな後ろ向きになってしまう。
厳しい状況、苦しいときだからこそ、その中から「一筋の光明」を見出し、「未来志向のコミュニケーション」に努めなければならない。
社長や役員からの「社員への最初の一言」は重要
物理的・心理的な壁を取り除くために、「形」から入る企業は多い。その典型例は「さん付け」運動だ。相手を役職ではなく「〇〇さん」と呼称することによって、上下関係を意識させないのが狙いである。
より目に見える形として、社長室や役員室を廃止して、社員と同じオープンフロアに席を設ける会社も増えている。「雲の上」と思っていた人たちが同じフロアに存在し、目に見えることによって、心理的な近さを演出する。
「形」から入ることは、「無用な壁を取り除く」という意味では有効である。しかし、大事なことは、経営陣と社員の交流を増やし、「フラットな関係性」を築くことである。とりわけ社長や役員から社員への「最初の一言」は重要である。
期待していたような成果がなくとも、まずは「ありがとう」「ご苦労さま」というポジティブな言葉から入り、そのあとに改善点を指摘するコミュニケーションをとるべきである。
「ネガティブな状況」を「ネガティブな言葉」で上塗りしたところで、状況がよくなることはありえない。
もちろん「反省」「振り返り」は不可欠だが、それは過去をほじくり返すことではなく、「未来に向けてのアクションを考えるための糧」にすべきだ。
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