ひとつめは、「身軽で気軽、軽快かつ軽妙で、フットワークのいい組織『Light』」である。
カルチャー変革とは「重い組織からの脱却」でもある。
組織風土に問題を抱えている会社の共通点は、「重い」ことである。組織を覆う空気が重苦しく、その重圧に押し潰された社員たちから主体性やチャレンジ精神を奪っている。
「重さ」の原因のひとつが「無価値・無意味な業務の増大」である。
過剰なまでの書類作成、細かすぎるチェック、「俺は聞いていない」を避けるための会議やミーティングなど、「内向きの業務」に追われ、現場は疲弊し、やる気を失っていく。
また、多くの日本企業は、過度に「外部に頼りすぎる体質」になっている。知見を持っているとされるコンサルティング会社やIT企業、教育会社、アウトソーシング会社などの外部の専門企業に安易に依存することが増えてしまった。
目先の経済合理性だけで考え、「外に依頼したほうが速い、安い」とする傾向が強まり、それが組織風土に多大な影響を与えている。その結果、組織の「身体性」が著しく劣化し、フットワークが重くなってしまった。
「無価値・無意味な業務」を削り、自ら試行錯誤する
カルチャー変革の第一歩は、日常の業務や会議に思い切ってメスを入れ、徹底的に「身軽」になることである。
無価値・無意味な業務から解放されれば、時間的な拘束だけでなく気持ちも軽くなる。そのためには、すべての業務を定期的に総点検し、「やめる」「なくす」「削る」を徹底させ、業務の「代謝」を進めなければならない。
トヨタが会議用資料は原則「A3、1枚」としているのは有名であるが、会議用資料の枚数を制限したり、会議時間に制限を設けたりするなど、ルールを定め、ビジネスプラクティスを明確にし、「業務が肥大化しないための予防措置」を講じることも有効である。
そして、目先のコストや専門性だけで、「なんでも外部」と判断するのではなく、「自分たちでやることの意義や価値」をあらためて再認識する必要がある。
もちろんこれは「外部活用を一切排除しろ」ということではない。
必要に応じて、外部からの客観的なアドバイスに耳を傾けたりすることも重要である。
しかし、自ら身体を動かし、汗をかき、試行錯誤するからこそ得られるものは大きい。
そうしたプロセスを経て、人は育つことを忘れてはならない。
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