「報酬減でも定年後の仕事に満足」な人が多い理由 「やりがいある仕事を奪われ失意」は現実と乖離
定年後に一定数の人が能力の低下を感じ、これに合わせて仕事のサイズも小さくなる。この結果をみたとき、多くの人は定年後の仕事はきっとつまらないものになるのだろうと直感的に思うかもしれない。
果たしてそれはどうだろうか。仕事に対する満足度がどう変わるのか、その答え合わせは後述するとして、まずは能力と仕事の負荷との関係性について分析してみたい。
図表1‒30は人が自らの能力を基点とし、仕事の負荷をどう感じているかをみたものである。これをみると、定年前後に、能力に比して仕事の負荷が適切であると感じる人が増えていることがわかる。
自身の能力に照らして仕事の負荷が適切であると感じる人の割合は20代で54.5%、30代で56.2%、40代で54.3%と横ばいで推移した後、50代前半の60.9%から60代後半で71.0%まで上昇する。
これは仕事の負担が重すぎると考える人の割合が減るからである。仕事の負荷が過大であると回答した人は、40代の31.8%をピークに、70代前半の8.3%の水準まで下がり続ける。
能力と仕事負荷のバランスが重要
現役世代の人は自身の持つ能力に対して、仕事の負荷が重すぎると感じる傾向がある。仕事において数々のスキルを身につけ、資格を取得し、リーダーシップを磨くなど、絶え間ない成長を求められることに対して、高いプレッシャーを感じている人も少なからずいるのである。
一方で、定年後には、仕事における過度な負荷から解放されることがわかる。50代以降、仕事の負荷が低下していくことによって、能力と仕事負荷のバランスが適正化し、多くの人にとって仕事は心地よい水準に調整されていく。
実際に、仕事の満足度と、能力と仕事負荷のバランスとの関係性をみると、その相関関係は非常に強い。バランスが適切だと感じている人ほど、仕事に満足して働けている人が多いのである。
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