度重なる「バス置き去り事件」防ぐ手段はあるか 「スクールバス用警報ブザー」を個人が発案

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認定こども園「川崎幼稚園」の園児死亡事件で、園児が乗っていたバス
9月14日、静岡県牧之原市認定こども園「川崎幼稚園」の園児死亡事件で、園児が乗っていたバス(左)を使い、車内温度などを検証する静岡県警の捜査員(写真:時事通信)

9月5日、静岡県牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」の送迎バスの中に、3歳の女児がおよそ5時間にわたり置き去りにされ死亡した事件が発生しました。同様の死亡事故は2021年福岡県中間市でも発生しており、死亡に至らない閉じ込め事例は毎年発生している状況です。このような事故が起こるとメディアはセンセーショナルに報道しますが、なぜ状況は変わらないのか――。このような事件を防ぐためにはどのような視点で対策をすればいいのか考えたいと思います。

システムの問題を現場のせいにする

今回の事件が起きてから9月12日までに、「なぜ防げなかったのか」など800件の苦情が牧之原市役所に寄せられました。これは児童虐待の凄惨な死亡事故が起こった児童相談所でもよくあることなのですが、この対応で業務が圧迫し、現場は疲弊し改善策の検討ができなくなるうえ、ほかの業務を圧迫します。

管轄する市が適切な行政をしていたかそうでないかはのちの検証や裁判を経ないとわかりません。しかしながらこのような事例を知って自分がコントロールできなくなり、電話せずにはいられない人々の対応で、行政がストップしてしまうことは事実です。わが国の特徴はこのような事例が起こるとシステムの改善ではなく、現場の責任にすり替え、過度に個人や組織を攻撃するので、いつまでたってもシステムが改善されず同様の事故が起こることにあります。それでは、システムを改善するにはどうすればよいのでしょうか?

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