「どうしようもない不安」を科学的になくす超対策 紙に書き出すことで頭の中が整理されスッキリ

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ネガティブな感情を具体的に因数分解して書き出すのもおすすめです。
「期日までに資料を作成しないといけない」というタスクがあったとしましょう。こういったタスクに対しては、次のような不安要因が挙げられるでしょう。

・締め切りまでに作成しなければいけない
・クオリティが心配
・内容について上司に怒られないか心配

あるいは、親の老後について考えるなら、

・お金が足りるか心配
・時間的余裕があるか心配
・親との距離感に不安がある
・自分がきちんと、対応できるのか不安

といった不安が付きまとうかもしれません。

先のように書き出してみれば、整理がつきやすく、どう対処していけばいいのかワンクッションをおくことができます。いうなれば、二の足を踏んでいるタスクや、頭を悩ませている事柄に対して、自分がどんな不安や心配を持っているのか因数分解してみましょうというわけです。

しかし、こうした整理整頓を怠ると、不安が複雑怪奇な大きな集合体のように思え、ますます頭を悩ませ、難しく考えてしまうようになります。

感情を魔物化させないために

古来、日本には、鵺(ぬえ)という伝説の生き物がいたといいます。サルの顔、タヌキの胴体、トラの手足、ヘビの尾を持つ魔物といわれ、『平家物語』に登場します。たしかに、目の前に鵺が現れれば、誰もが恐れおののくことでしょう。

しかし、顔、胴体、手足、尾を切り離し、1つひとつを見ていけばサル、タヌキ、トラ、ヘビというように見慣れた動物にすぎません。

不安も同様です。1つひとつを切り離して考えれば対処法がある。ところが、全体をぼんやり、漠然と不安に思うから魔物に見えてしまうのです。魔物化しないためにも、考えすぎはよくありません。因数分解し、冷静に見てみることが大事です。

パソコンのデスクトップにさまざまなファイルを置いていると、画面がごちゃごちゃして見づらく、効率的ではありませんよね? ですから、私たちは必要のないものをゴミ箱へ移動し、デスクトップを見やすくします。
不安なことを書き出すのは、脳のデスクトップ上にある余計なファイルをゴミ箱に移すようなアクションです。

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また、不安を書き出すというのは、考えて分析する作業です。分析するとき、脳は大脳新皮質の中でも特に前頭葉がよく働くのですが、「不安を書き出す=前頭葉を働かせること」で不安を抑えるということにも一役買っていると考えられています。

不安という本能的な脳の稼働を、分析を担う新しい脳を稼働させることで抑え込むわけです。いろいろなものが煩雑で、頭の中を占拠していれば、合理的かつ効率的な判断ができなくなる。ということは、おのずと「やる気」も育ちづらくなります。

ですから、書き出すことで、ワーキングメモリが整理され、スマートな判断がしやすくなるというわけです。

堀田 秀吾 明治大学教授

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ほった しゅうご / Syugo Hotta

言語学博士。熊本県生まれ。シカゴ大学博士課程修了。ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了。言葉とコミュニケーションをテーマに、言語学、法学、社会心理学、脳科学などのさまざまな分野を融合した研究を展開。熱血指導と画期的な授業スタイルが支持され、「明治一受けたい授業」にも選出される。研究の一方で「学びとエンターテインメントの融合」をライフワークとし、研究活動において得られた知見を活かして、一般書・ビジネス書等を多数執筆、テレビ番組にも出演する等、多岐にわたる活動を展開している。

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