今感じている不安や心配事をノートなどに書き出すというアクションは、言うなれば不安の整理&断捨離ということ。
仕事でやらなければいけないことがあるのに、なかなか動き出せないままでいるなら、
・過去にどうして失敗したのか
・一番ネックに感じていることは何か
・いつまでに、やらなければいけないのか
といったことを書き出してみる。そして、作業するデスクにメモとして貼っておくなどすれば、先の実験のようにメンタル部分の改善とともに、集中して物事に取り組みやすくなります。できれば日記のように、毎日のルーティンにしたほうがいいでしょう。
クラインとボールズの研究結果
それを示すのが、ノースカロライナ州立大学のクラインと北テキサス大学のボールズらの調査です。その内容は、
② B「大学とは関係のない普通のトピック」を書いてもらう
これらを毎日20分間、2週間にわたって続けるというものでした。
Aのグループの新入生の中からは、当然、授業についていけるか心配、交友関係がうまく築けるか不安といった声も挙がっていました。
書き終えてから、7週間後、AグループはBグループに比べ、ワーキングメモリとメンタル部分の改善が見られたというのです。
また、クラインとボールズの別の実験では、
② ポジティブな体験を書いてもらったグループ
③ 普通のトピックを書いてもらったグループ
を比較したところ、ネガティブな体験を書いてもらったグループが、もっとも余計なことを考えなくなるという結果になりました。
しかも、これらの実験では、メンタル部分の改善に加え、ワーキングメモリの大幅な改善も見られたそうです。作業や動作に必要な情報を一時的に記憶したり処理したりする脳の機能・能力のことをワーキングメモリと呼び、会話や読み書き、計算といった日常のあらゆる行動や判断に関わるといわれています。
ワーキングメモリは、大脳辺縁系の本能的な感情をコントロールする(理性をつかさどる)前頭葉などを含む大脳新皮質と大きく関わっています。
人類が進化させてきた「思考する脳」であり、冷静で合理的に考える力の強弱は、ワーキングメモリと密接につながっています。つまり、ワーキングメモリに余裕がないと、感情をコントロールしづらくなるため、本能がむき出しになり、イライラしやすかったり、不安が増長しやすくなったりしてしまいます。
ワーキングメモリの改善が見られると、作業や動作のパフォーマンスが上がります。ルーティンに日記を取り入れれば、気持ちも脳もスッキリした生活を送れるでしょう。
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