赤字だった市立川西病院が劇的な変身を遂げた訳 存続すら危ぶまれたが総合医療センターとして再生
川西市は当初北部に公立の診療所を作ろうと計画していた。それはこの地域は川西市以上に人口減少が著しい高齢化地域で、新たな病院の設立が困難だったからである。2018年に大塩民生・前市長から現在の越田謙治郎市長に変わってからも、当選後から北部地区の医療の空洞化を回避するため、越田市長自らも住民説明会に奔走した。
越田市長は「前の大塩市長と政策は違っていても、地域医療への強い思いは私も同じだった。自分も川西で育ってきた1人なので、何としても川西市の医療は整えようと思っている。ただ以前は川西病院の再建をどうするかという議論だったが、協和会との統合移転となった今は、持続できる地域医療や近隣病院とどう連携していくかという議論に変わった」。
法人設立で地域医療連携の拠点をめざす
そして9月1日、川西市が待ち望んだ川西市立総合医療センターが開院した。運営する指定管理者の協和会は、周辺の病院に負けない集患のための新たなサービスを次々と打ち出している。
協和会がこだわったのが、公立病院としては全国でも珍しい全病室の個室化である。地方公共団体が開設する医療機関の有料病床は3割以下とされているため7割は無料個室で、残り3割のシャワー、トイレ付き個室のみが有料となる。個室で患者の療養環境を高め、さらにコロナ禍では感染管理面でも大きく注目されている。
またコロナ禍での経験から、個室のテレビの代わりにタブレットPCを急遽導入。これでオンライン面会が可能になる。1階ロビーには地域医療連携をコントロールする部屋が設けられている。個室にすることで増える医師や看護師などの負担も、行動の導線を最小限にする設計に変えた。
移転後の北部地区の医療問題も、最終的には猪名川町の今井病院が市立川西病院跡地に移転して新病院を建てることとなった。これら地域のほかの病院も含めて再編を可能にしたのは、2021年4月新たに「地域医療連携推進法人」を設立したことだ。
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