九州の全鉄道をカバーする「旅名人きっぷ」の威力 JR以外も乗れて有効期間は3カ月、どう使う?

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肥薩おれんじ鉄道は絶景路線だ。車窓にはどこまでも青い不知火海が広がり、海上を走行しているのでは、と思わせる区間もある。「おれんじ食堂」という、この景色を眺めながら食事を楽しむ観光列車もある。そして鹿児島本線だった頃には、寝台特急「はやぶさ」からこの光景を眺めることができたのだなと、ブルートレインが海沿いを走っていた昔に思いを馳せる。

終着の川内で昼時だったので、駅近くのそば屋に入った。焼酎を1合だけ頼んだのに、ボトルキープかと思われるようなアイスペールの氷が出てきて、何度かおかわりをせざるをえなかった。ここは鹿児島県である。

川内の焼酎
1合だけ頼んだ焼酎にはアイスペールの氷が(筆者撮影)

その後、鹿児島中央駅から肥薩線直通の気動車に乗って嘉例川駅に向かった。100年以上経つ登録有形文化財の木造駅舎であり、以前の記事(「レトロな木造『嘉例川駅』は空港アクセス抜群だ」)でも紹介したが、実は鹿児島空港の最寄り駅である。夜、誰もいない歴史を感じる駅でしばらく過ごす。路線バスは終わっていたので空港まではタクシーを呼んだ。

嘉例川駅
夕暮れの嘉例川駅。実は鹿児島空港の最寄り駅でもある(筆者撮影)

鹿児島空港は、保安検査場を通ったあとに安価なカフェバーがある。焼酎1杯330円と破格だ。ついつい飲み過ぎる。搭乗してすぐ寝入ってしまい離陸したことも気づかず、羽田での着陸の衝撃で目が覚めた。

「地域おこし」の実際に感心

さて、次は「旅名人きっぷ」の3カ月の有効期間を活かした7月の大分遠征である。今回の日程は1日金曜日~3日日曜日で、きっぷを使うのは土・日だ。

1日午後の飛行機で福岡空港に出て、久留米に向かった。一念発起して会社を早期退職、横浜から久留米市田主丸町に移住して「地域おこし協力隊」の任期を3年勤め上げた黒田俊光さんに会い、話を聞くためである。耳納連山など、自然環境だけでなく、古代から続く神事に大変興味を持たれ、任期が切れたあとも田主丸に住み、町の情報発信を続けている。

正直、田主丸の駅舎がカッパの形をしているという認識しかなかった私には、次々と出てくる伝統行事や町の現状に感心するばかりだった。こんな町が全国各地にあるのだろう、という想像も働く。スマートシティ構想など、地域活性の手段はいろいろとあるが、地道に伝統を守り、それを活かすことも大切なのだと感じた。

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