鹿島、トップ交代を機に"追い風"に乗れるか スーパーゼネコン4社の中で利益は最下位

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2月24日の社長交代会見で意気込みを語った次期トップの押味至一(おしみ・よしかず)氏(写真左)

追い風が吹く建設業界で再びトップの座に着くことになるのか――。鹿島建設は2月24日、社長交代人事を発表した。2005年から指揮を執ってきた中村満義社長(71)は代表権のある会長となり、新社長に専務執行役員の押味至一氏が6月に就任する予定だ。

1月23日に発表されたスーパーゼネコンの一角を占める大成建設のトップ人事では、常務執行役員から村田誉之氏(60)が昇格する。それに比べて押味氏は66歳で年齢的には若返りとはいえず、専務から社長という点では「旧来型」の昇格人事といえる。

さらに「鹿島創業家の関係者からの社長も噂されていた」(業界関係者)だけに、「創業家であるより、その人が時代に即した人物であること。年齢は関係ない」(中村社長)という押味氏を選んだ理由には、それなりの期待感があるのだろう。今回のトップ人事について「鹿島昭一相談役には事前に了解をとった」(中村社長)という。

大手4社では利益に見劣り

上場するスーパーゼネコン4社の2015年3月期の連結営業利益見通しを比べると、大成建設(540億円)、清水建設(445億円)、大林組(350億円)の順で、鹿島のそれは240億円と大きく見劣りする。

中でも、鹿島の建築部門の2014年度第3四半期(4月~12月)までの粗利率は、わずか2.3%。前期の0.3%からは上向いているとはいえ、ライバルと比べても改善というにはほど遠い。通期見通しの粗利率も2.3%で、販管費を入れたセグメント利益は赤字の公算(第3四半期までの累計は134億円の赤字)。土木部門が好調にもかかわらず、スーパーゼネコンの中で営業利益が最も低いのは、この建築部門の不振が原因だ。

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