佐藤正久「ロシアは相手が嫌がることをやる天才」 プーチンの「コソボ独立への批判」をどう考えるか
仮に東野さんが言うように、手順を踏んで、協議を踏んで、それでも解決ができない場合に独立を認めてもいいという話になれば、プーチン大統領はそれを使う。ウクライナ東部地域について、さまざまやろうとしたが、解決できなかったから独立させるんだ、という話になりかねない。仮にこの住民投票について、国連等が監視団を送ってきちんと行った場合、主権国家から住民投票で一部地域を独立させるというのは認めることができるのか。
佐藤氏:昔のように、国連がお墨付きを付けるというのはもうなじまない。冷戦後、アメリカが世界の警察官をやめるという時代になり、民族紛争、宗教紛争が出てきていて、これはもう多分それでは収まらない。
コソボはアルバニア人という民族がコアになっている。ウクライナ南部や東部での住民投票も、ロシア化ということは裏返せば、ウクライナ人のアイデンティティーをなくし、ロシアに同化させるというのが目的だ。それを国連が認めても認めなくてもやろうとしてるのがロシアだ。新たな価値観を持った国々で、新たな価値観同盟ではないが、新たな国際秩序をつくるという方向に徐々に舵が切られている。
同じような価値観を持つ仲間がいかに広がっていくか
橋下氏:佐藤さんはコソボの独立を認めるのか。日本政府は認めている。コソボ独立については、賛成国が110ぐらいで、反対している国は80ぐらいある。われわれ西側諸国、日本もアメリカもセルビアの中の一部の独立を認めている。繰り返しになるが、プーチン大統領から「西側だって一部地域の独立を認めているではないか」と言われとき、佐藤さんならどう反応するか。
佐藤氏:反論しても多分平行線のままだろう。こういう理屈でさまざまな手順を踏んで、国連も認めたといっても、プーチン氏は認めない。今後、同じようにウクライナについてプーチン氏は正当な手続きでやったと。これは、ロシアよりもヘルソン共和国やドネツク共和国の主権の問題だと彼らは言うだろう。平行線のままだ。でも、そういう時代なんだ。
そういう中でいかに同じような価値観を持つ仲間がグループを広げていくかだ。国連は国連としてあるが、日米同盟プラスQUAD、あるいはNATOの連携とか、そういう新たな国際秩序をつくり、自分たちの主張を広げていくしかない。
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