佐藤正久「ロシアは相手が嫌がることをやる天才」 プーチンの「コソボ独立への批判」をどう考えるか

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武力によって解決をする戦争に僕は絶対反対だ。政治は言葉で対抗していかなければならない。要は相手が論理で来たときにはきちんと論理で返すというものを西側諸国は持っておかないといけない。セルビア国内のアルバニア人が迫害を受けたという事情があるにせよ、主権国家セルビアの一部地域コソボの独立を西側諸国は承認した。もちろんセルビアとロシアは反対している。主権国家から一部地域を独立させて国家承認することはいいのかどうか。

日本も含め欧米はコソボ独立を認めている。であれば、プーチン大統領が同じ理屈でウクライナ国内のロシア民族を守るために一部地域を独立させるのだ、という論理で迫ってこられたら、西側諸国はどう対抗したらいいのか。

国際社会や国連の関与をもっても納得しないプーチン氏

東野篤子氏(筑波大学教授):その安倍元首相とプーチン大統領のエピソードは非常に興味深い。プーチン大統領としては、西側は「説得的な論理を示すことができていない」ということなのだろう。おそらく説得的な論理を展開したところで、プーチン氏の耳に届いていない。

「説得的」というのは国際社会や国連の関与だ。コソボの独立は2002年に国連が準備会合を立ち上げ、地位交渉の準備のために非常に長い時間をかけて双方に聞き取り調査をし、長い長い時間をかけて準備をした。そして2005年から7年まで2年間、国連が仲介して交渉したけれどもうまくいかなかった。2007年にアメリカとロシア、EU(欧州連合)が入って交渉して、これもうまくいかなかった。すべての手を尽くしたけれども合意できず、結果として2008年に独立に至った。

(画像:FNNプライムオンライン)

プーチン氏が、これが説得的でないというのだったら、やはりロシアは国連安保理常任理事国としての資格はない。これだけ国連のシステムを使ってきちんと交渉したものが説得的でないと言うのなら、いったい何が説得的なのかと言いたい。

橋下氏:今の戦後秩序では、五大国の同意がなければ物事を動かせない。国連がどれだけ介入しようがなんであろうが、ロシアが認めないならものごとは動かない。

次ページ独立を認めてもいいという話になれば…
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