司法捜査で強まったトランプ氏の共和党内影響力 ブッシュ家、チェイニー家を圧倒し中間選挙へ

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だが、激戦州の共和党予備選でトランプ支持派の上院共和党候補が次々と選出されたことで、直近では本選で民主党候補に敗れる可能性も浮上している。仮にトランプ支持派が相次いで負け、中間選挙で共和党が奪還できなければ、2020年上院選敗北に続いてトランプ氏に責任があるとして議会共和党指導部が責任追及するかもしれない。

その発言の多くが戦略的であるミッチ・マコネル上院院内総務は8月17日、上院選では各候補者の質が重要である、と指摘した。それは、もし中間選挙で多数派を奪還できなければ、大統領選に向けて上院共和党指導部がトランプ批判に転じるという前兆なのかもしれない。

支持者がデサンティス知事などに鞍替えも

これまでトランプ氏を支えてきた共和党支持者の一部も司法問題が山積しているトランプ氏ではなく、トランプ氏と同様の政策を掲げるものの司法問題に直面していないデサンティス知事のような他の共和党候補に関心を示し始める可能性もある。

さらにはトランプ氏の家宅捜索後に再びトランプ支持に傾いたフォックスなど保守系メディアが、いずれトランプ氏から距離を置くかどうかも注目だ。陰謀論のウェブサイトを運営し共和党内で影響力を発揮するアレックス・ジョーンズ氏が、長年支えてきたトランプ氏からデサンティス知事に鞍替えした。

すでにツイッター、フェイスブックなど主要SNSから締め出されてしまい、トランプ氏がメガホンを失っているのも、これまで同氏が戦った大統領選とは異なる点だ。とはいえ、2016年大統領選のように共和党予備選で対抗馬が数多くいれば、再び支持基盤が強固なトランプ氏が予備選を勝ち抜くチャンスは高まる。

FBIの家宅捜索で短期的には復活を遂げたトランプ氏だが、来年にかけ、「トランプ不死身説」が司法そして政治の両面から試される。起訴される可能性もあり司法面で窮地に陥るかもしれないトランプ氏。まずは大統領選に向け今後、共和党内の影響力を左右することとなる中間選挙が極めて重要な戦いとなる。

渡辺 亮司 米州住友商事会社ワシントン事務所 調査部長

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わたなべ りょうじ / Ryoji Watanabe

慶応義塾大学(総合政策学部)卒業。ハーバード大学ケネディ行政大学院(行政学修士)修了。同大学院卒業時にLucius N. Littauerフェロー賞受賞。松下電器産業(現パナソニック)CIS中近東アフリカ本部、日本貿易振興機構(JETRO)海外調査部、政治リスク調査会社ユーラシア・グループを経て、2013年より米州住友商事会社。2020年より同社ワシントン事務所調査部長。研究・専門分野はアメリカおよび中南米諸国の政治経済情勢、通商政策など。産業動向も調査。著書に『米国通商政策リスクと対米投資・貿易』(共著、文眞堂)。

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