司法捜査で強まったトランプ氏の共和党内影響力 ブッシュ家、チェイニー家を圧倒し中間選挙へ
トランプ前大統領は今日、2方面で戦いを繰り広げている。1つ目の戦いは司法。トランプ邸に持ち出されていた政府機密文書、ジョージア州の選挙妨害疑惑、2021年1月6日の連邦議会乱入事件、そしてトランプ一族のビジネス不正疑惑をはじめさまざまな司法問題が山積している。もう1つの戦いが政治。今やトランプ氏出馬が確実視されている2024年大統領選に向けた共和党の党内闘争だ。
トランプ氏にとって司法面と政治面の現状の戦況は逆相関関係となっている。つまり、司法面でトランプ氏が追い込まれるほど、政治面ではトランプ氏の党内影響力が強まるといった不思議な力学が働いている。
7月の公聴会はトランプ氏に逆風だったが
7月、トランプ氏の支持率に異変が見られた。リアル・クリア・ポリティクスの世論調査平均値によると、トランプ氏の不支持率は月末には56%まで上昇。2021年1月6日の議会乱入事件直後以来の高まりを見せた。
不支持率上昇の最大の理由は連邦議会乱入事件を調査する下院特別委員会による公聴会だ。約2000万人もの国民が視聴した同公聴会はゴールデンタイムに全米で放送された。同公聴会は事前予想に反し多数の有権者の心を動かした。
特に議会乱入者を鎮圧させる際、指揮をペンス副大統領(当時)に任せるなど、大統領らしくない行為が注目を集めた。下院共和党指導部が委員会に関与せず反論の証言が見られなかったことで、特別委員会による一方的な情報発信となったこともトランプ氏に打撃となった。
そしてトランプ氏のイメージ悪化に追い打ちをかけたのがルパート・マードック氏率いる一部保守系メディアの「トランプ離れ」であった。トランプ政権時代は国営放送と化し、同大統領を支えていたフォックスニュースまでもが公聴会後、一部番組でトランプ批判に転じた。ニューヨーク・ポスト紙とウォール・ストリート・ジャーナル紙の社説では、いずれもトランプ氏は大統領として失格との厳しい評価を下した。
これら新たな動向から、反トランプ派を中心に共和党では、もはやトランプ氏は党内で求心力を失い同氏の覇権時代終焉が始まったとの主張まで出始めていた。
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