「何としても主張を通したい時」に超使える考え方 まずは仲間を4つの層に分けることから始める

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まず1つ目のこちらを侮蔑している人たちは、バカにしてニヤニヤと笑って聞いているような人たちです。こういう人には、いくら正論を言っても通じません。彼等の心の中の声は、いつもこんな感じになっているのです。

「こいつ、バカじゃね? そんな少数意見いくら言ったって、世間じゃどうにもならんのに。みんながこれでいいって言ってんだから、勝ち馬に乗りゃいいだけなのに、必死になってワケのわからん理屈ばっかりこねやがって。ホント困ったもんだぜ」、と。

彼らを改心させるには、彼らが乗っかろうとしている「勝ち馬」そのものを変えていくことが必要です。そもそも彼らは何が正しいかには興味がなく、何が勝ち馬かにしか興味がないのですから、そこを変える他に道などないのです。

本当の敵は無関心な人たち

無視のもう1つのパターンは、無関心の人たちです。政治や行政に関して無関心で、日本や日本人の将来に関してもほとんど関心がない。そもそも少しでも難しい話をすると、もう面倒だからと聞いてくれなくなる人たちです。

正直、いまのような問題が山積みの時代であっても、無関心層というのは増え続けています。

ただし、こういう人たちにはまだ理想や正義に対する志向は残っています。そういうところに上手に働きかければ、一気にこちらの理解者になってくれる可能性があるのです。

そこで私は何をするかと言ったら、どんどんメディアに露出して、少しでも彼らに認知してもらうのです。時には派手なパフォーマンスも必要でしょう。

そして、「政府の財政赤字など恐れるに足りませんよ!」「デフレ脱却こそ、日本再生に必要ですよ!」とわかりやすい言葉で投げかけます。なんだか、ちょっと面白いことを言っているな、と思ってくれたらしめたものです。

そして、消費税を上げて社会保障費にあてると言っているけれど、嘘ばかりだとか、財務省の連中は自分たちの省益だけを考えているという話をすると、だんだん理解してくれるようになるのです。

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こちらの正論を冷笑している人間の数よりも、無関心層のほうが圧倒的に多いでしょう。しかも、働きかけによって味方になってくれる可能性ははるかにこちらのほうが高い。となれば、私の戦略はもう決まったということでしょう。前者は放っておいて、後者に対して徹底的にアプローチするのです。

ここで大事になるのが、嘘を言わないこと、ごまかさないことです。そして世の中を良くしたいという誠意と善意に基づいて、情熱と愛情を持って訴えかけることです。

そして「限界質量」=「閾値」を超えると、世の中の流れが一気に変わる。すると冷笑した人たちも、多勢に無勢の不利を察知した瞬間コロリと態度を変えるのです。

藤井 聡 京都大学大学院工学研究科教授

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ふじい さとし / Satoshi Fujii

1968年、奈良県生まれ。京都大学大学院工学研究科教授。京都大学工学部卒業、同大学院修了後、同大学助教授、イエテボリ大学心理学科客員研究員、東京工業大学大学院教授などを経て、2009年より現職。2012年から18年まで、安倍内閣において内閣官房参与。2018年よりカールスタッド大学客員教授、並びに『表現者クライテリオン』編集長。著書に、『こうすれば絶対よくなる! 日本経済』(田原総一朗氏との共著・アスコム)、『ゼロコロナという病』(木村盛世氏との共著・産経新聞出版)、『なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか』(ポプラ社)など多数。

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