「何としても主張を通したい時」に超使える考え方 まずは仲間を4つの層に分けることから始める

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簡単に言うなら、正論を通すということは、仲間を作り、広げていくということです。仲間といっても、そこにはおのずと階層があります。私自身は、大きく4つの層に分けて考えています。すなわち中心である自分から距離の近い順にコア層、ミドル層、周辺層、そして赤の他人です。

「コア層」というのは私にとっては家族であり、親友であり、大学の研究室の人たちです。また私が出している雑誌『表現者クライテリオン』の編集部のスタッフなどもそうです。

このコア層は、自分の意見を自分と同じように信じ、一心同体で動いてくれる人たちです。一番近くて大切な仲間であり、自分にとっては正論を広げるための拠点であり、いざとなったらいつでも帰ってこられる、ふるさとのような存在です。

このコア層を、まずはしっかりと作りあげることが先決でしょう。

もしあなたが、会社の中で、あるいはコミュニティや地域社会の中で、何かしらの意見を通したいと考えたなら、まずコア層を作ることです。

支持が広がるかは「ミドル層」次第

「ミドル層」とは、私にとっては意見の合う同業者や著名人、政治家や役人などが該当します。一般企業であれば、直属ではない他部署の上司や同僚、後輩の人たちなど、少し距離の離れた人ということになるでしょう。この層をいかに広げていくかが、正論を広げていけるかどうかの重要なポイントになります。

私の場合ですが、この層は社会的にもそれなりの立場の人が多く、オピニオンリーダーと言われる人も多い。彼らとコミュニケーションを重ね、理解し、理解される協力関係を取り結んでいくわけです。つまり“仲間”になっていくわけです。そうすると、彼らが発信拠点となって、さらに仲間が増えるわけです。

ただし、このミドル層はコア層と違って、全面的な仲間というよりはむしろ、特定の正論についての仲間、すなわち部分的な仲間です。もちろん、当初ミドル層であってもコア層に転換していくことはあり得ます。というか、むしろすべてのミドル層に対してコア層に転換していくことを望んでいます。

一方で、こちらの正論に反対している「敵」に対してはどう臨むべきか? 結論から言えば、敵は説得する相手ではありません。最初から向こうも、こちらを仮想敵として煙たがっているのであればなおさらです。そこから彼らを味方に転じるように説得するのは、至難のわざであり、事実上無理です。

我々の時間もエネルギーも無限ではありません。ですから限られたエネルギーは、「敵方」の説得ではなく、「仲間」を拡大していく方向に活用することが大切なのです。

ただし、正論にとって脅威となる大敵は、こちらに論戦を挑んでくる「論敵」よりも、むしろこちらの意見を「無視する」存在です。

ちなみに、無視には2つのパターンがあります。1つが侮蔑しているがゆえに、こちら側の言説を無視する人たち、そしてもう1つが、無関心の人たちです。

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