では、アセトアミノフェンの熱を下げる仕組みはどうなっているかというと、主に体温調整を行う中枢神経に作用して熱を下げてくれる。炎症をとる作用は弱いが、非ステロイド性抗炎症薬で起こる胃腸問題などの副作用はないという。
アセトアミノフェンと非ステロイド性抗炎症薬の作用の強さについて永井医師に聞くと、「作用している場所が違うし、種類の多い非ステロイド性抗炎症薬と一概に比較できない」そうだ。
「いずれにせよ、つらい症状を短期間で抑えたいのであれば、使ったほうがいい。アセトアミノフェンにしても、非ステロイド性抗炎症薬にしても薬局やドラッグストアで買う場合は、薬剤師に尋ねるといいと思います。
一方で、腎臓や肝臓などに持病がある方や、気管支喘息などを患っている方が薬を飲む際は、かかりつけの医師や主治医に相談したほうが安心、安全です」
なお、非ステロイド性抗炎症薬に関しては、先に挙げたように種類がいくつかある。筆者も頭痛などで飲むことがあるが、効くタイプとあまり効かないタイプがある。永井医師によると「理屈はわかりませんが、人によって効き目が違うということは、これまで患者さんに処方した経験から感じている」という。
薬の効き目に心当たりがある人は、それも踏まえて薬剤師に相談しよう。
知っておきたい「解熱薬」の飲み方
続いて解熱薬の飲み方について、基本的なことを押さえておきたい。熱が出たら解熱薬を使って熱を下げたいという人もいれば、薬をなるべく使わないという方針の人もいるだろう。
「熱というのは、基本的に体のどこかに炎症があって、それに対する防御反応として生じています。だから“下げなければいけないという理由はない”のです」
と永井医師。体内にウイルスや細菌などが侵入すると、それらに対抗する免疫細胞が活性化して、サイトカインという生理活性物質を分泌する。このサイトカインが先に挙げたプロスタグランジンを作り、体温中枢に働きかけて体温を上げる。
実際、体温が高いときのほうが免疫細胞の働きがよくなることが示唆されている。だからなのか、鎮痛薬を使うことでこうした体の反応が弱まることから、回復が遅くなる可能性もあるようだ。
では、解熱薬はどんな場合に服用するかというと、その目安は“苦しいかどうか”だという。熱があってつらい、熱によって食事が取れなくてつらい……そういうときにはガマンせず服用するということだ。
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