日露天然ガスパイプラインはなぜ必要なのか 日本のエネルギー安保揺るがす中東の混乱

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

さらに、シェール企業の多くは規模が小さく信用力が低いため、ジャンク債などを大量に発行して資金調達しており、レバレッジドローンを含め約5000億ドルのエクスポージャーがあると言われている。シェール企業関連のジャンク債とレバレッジドローン債権は証券化され世界中に分散されており、サブプライムローンと同じ構図である。「現在のウォール街はリーマンショック前とまったく同じビヘイビアに陥っている」と指摘する専門家も少なくない

これから第2のリーマンショックが起きる

今回の原油価格急落は80年代後半に起きた需要の減少による「逆オイルショック」と比較されることが多い。だが、今回はまだ需要面の負のインパクトがあまり出ていない。需要そのものは伸びているからだ。しかし、2013年までの10年間の世界の原油需要の伸びの5割以上を占めた中国経済が急減速すれば、世界の原油需要がマイナスに転ずることになり、原油価格は2番底(最終的には1バレル=20ドル割れか)に向かう。

原油価格が1バレル=40ドルを割れば、シェール企業関連に投資している金融資産から大幅な損失が表面化するのではないだろうか。世界の金融システムは「複雑系」の様相を強めているため、いつ、何が火種となって、どの程度の規模で危機が発生する(発生しない)かを、予測するのは難しいが、グローバリゼーションの名の下でシステムの「多様性」が減少している中で、「バタフライ効果」(蝶がはばたく程度のわずかな変化が遠くの場所で大きな気象の変化につながるという力学)が起きやすい状況であることは間違いない。

「もし米国で第2のリーマンショックが起きたら」とは想像したくもないが、そうなれば「世界の警察官」の役割を放棄しつつある米国はますます内向きになるだろう。さらにシェール革命により南北アメリカ地域の原油生産量の大幅増産が現実になった今、米国にとって中東地域は「利害地域」ではなくなりつつある。

次ページサウジの状況
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事