なぜシェールガスはカベにぶつかっているのか 世界平和研究所主任研究員の藤和彦氏に聞く
――大阪ガスの特損計上は、シェールガスの限界を知らしめました。
大阪ガスは、米国で初めて認可された日本へのシェールガス輸出プロジェクトに参画や鉱区開発への直接投資を行うなど中心的な役割を演じてきた。今後も鉱区を閉鎖せずに生産・販売を続ける意向だが、当初期待していた量を確保できず、この先、開発リスク懸念が高まるだろう。
苦境に陥っているのは日本企業ばかりではない。2013年10月には、ロイヤル・ダッチ・シェルが240億ドルを投じた米国のシェールガス事業が失敗に終わったとの観測が高まっている。英ブリティッシュ・ペトロリアムもすでに21億ドルの評価損を計上しており、「不良鉱区」をつかまされた海外のオイルメジャーの間ではシェールガス・ブームは一気に冷え込んでいる。
シェールガスは安いものではない
――なぜそのようなことになったのでしょうか。
要因は極めて簡単で、シェールガス自身は決して安い化石燃料ではないからだ。成分は在来型の天然ガスと同じだが、掘削が困難なため採算性の面から石油メジャーですらその開発に二の足を踏んできた。
ところが、シェールガスが喧伝されると、ベンチャー企業が投資家から資金をかき集めて開発・生産競争に走ったために、米国の天然ガスは大幅な供給過剰となった。その結果、指標価格であるヘンリー・ハブ価格が12.17ドル(百万BTU当たり、2008年6月時点)から2.68ドル(2012年5月時点)に急落し、日本で「シェールガスは安い」という誤った認識が広がった。
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