また、「自社のみのリソースで人的資本の開示をすることは難しいと思いますか?」との質問には、「非常にそう思う(33.6%)」「ややそう思う(38.5%)」と、7割以上が社内のリソースに限界を感じている様子。
「人的資本開示までの流れやルール・指標の設定を外部に支援をしてもらいたいか」との質問には、「非常にそう思う(45.3%)」+「ややそう思う(50.7%)」で、実に96%が外部の力を必要としていることがわかった。上場企業各社でも、自力対応には限界があることを露呈しているとも言えるのが実情だ。
単に情報開示をすれば良いのではない
では、このように社会全体で「人的資本」の情報開示が求められているのはなぜなのだろうか。背景の1つにあるのは、企業価値における無形資産の割合が高まっていること。企業価値の構成要素のウェイトは有形資産(モノ・カネ)から無形資産(ヒト)にシフトしている。
もはや企業は有形資産に依存しなくても価値を生み出すことができており、その事業やサービスの品質は働く「人」に大きく依存している。だからこそ、人的資本を経営の中心に据え、積極的に投資していくのは、時代の流れだとも言えるだろう。
また、「ESG投資」への関心が高まっていることも理由に挙げられる。近年の投資家は、財務情報には表れない、環境(Environment)、社会(Social)・企業統治(Governance)の要素を考慮して投資先を判断している。人的資本はSに該当すると言われており、だからこそ、投資家たちは企業の人的資本に注目しているのだ。ゆえに、上場企業は対応が不可欠ともいえるだろう。
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