コロナ「保険金」感染した人が請求できる必要条件 加入する生命・医療保険などの特約を見てみよう

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最近は、コロナへの備えを強化した保険も人気を集めました。ひとつは従来型の生命保険や医療保険にコロナなど感染症への保障をセット契約するもので、コロナで入院したら給付金額が上乗せされたり一時金を受け取れたりします。対面型の営業に強い大手・中堅生保が、おもに既契約者向けに提供していました。

もうひとつ、ネット専業保険を中心に展開されているのが「コロナ保険」です。コロナ陽性と診断された時点で、入院の有無を問わず5万円や10万円などの一時金が支払われるような内容になっています。保障(補償)対象をコロナに特化し、単品で契約できるものもあります。コロナ以外の病気を対象外とすることで保険料が抑えられ、ワンコインなどリーズナブルな掛け金と、ネットやスマホだけで契約手続きを完了できる手軽さが支持され、爆発的な人気となりました。

しかしながら第6波以降は急速な感染拡大とともに保険金給付が想定以上に膨らみ、負担を抱えた保険会社が給付金額の削減や保険料の値上げ、さらには販売停止にまで追い込まれる事態が相次ぎました。今ではコロナでの保険金を売りにした保険はごく一部を除いてほとんど販売されていませんが、以前に契約した保険がまだ有効なら、感染したときに受け取れるかもしれません。

コロナが5類になれば保険がおりなくなる可能性

このように現在、コロナ感染時に給付される保険はさまざまあります。もしも感染したときには、契約中の保険で何らかの給付が受けられないか、契約内容や保険会社のコロナへの対応を確認してみましょう。

ただし、今後は要注意です。自宅療養でも入院とみなして給付金を受け取れるといった扱いは特別対応で行われていることがほとんどで、感染拡大状況や法律の見直しなどによって変わる可能性があるためです。

現下ではコロナの位置づけについて、感染症法上の「2類」から「5類」相当への変更が検討されています。上述した保険の多くは、コロナが感染症法の新型インフルエンザ等として「2類」に分類されていることを前提に給付をしています。ですから今後、分類が変更されれば、給付の対象外となる可能性があるのです。国の分類が変わったらすぐに必ず保険の取り扱いが変わるわけではありませんが、自分や家族が加入している保険の取り扱いがどうなるか、契約先の保険会社の動向を注視しておくことが重要です。

保険はいざというときがなければ、ほとんど目を向けることはないものです。無事に暮らせることが何よりではありますが、もしもコロナ感染など想定外のことに見舞われたときにどのように役立つのかを把握しておくと安心です。そのためにまずは、自分や家族の契約先がどこなのか、どんな契約内容なのかを改めて確認しておきましょう。

加藤 梨里 FP、マネーステップオフィス代表取締役

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かとう りり / Riri Kato

保険会社、信託銀行などを経て2014年にファイナンシャルプランナーとして独立開業。家計相談、セミナーや雑誌・ウェブサイトでの執筆を中心に活動。慶應義塾大学SFC研究所上席所員として、健康増進とライフプランの関係をテーマに研究活動も行っている。http://moneystep.co/profile

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