元高校教師が全寮制の不登校特例校に込めた想い 自然や地域から隔絶されてあえぐ子どもたち

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結局、多くの生徒が、出席日数不足でやめていきました。ほとんどの生徒が、「本当は卒業したかった」と言い残して去っていきます。当時は通信制高校も一般的ではなかったので、「中卒」で社会に放り出されることを意味しました。

そんな場面で何にもできない自分に腹が立って、不登校の子どもたちに最後まで寄り添える学校をいつかつくろうと心に決めます。

有名な大学の先生に教えを請い、不登校への対応はそう簡単な話ではないことがわかりました。毎週末、東京で行われる講習会にも通いました。名古屋大学の先生にはグループアプローチという手法を習いました。愛知県の中学校で不登校の生徒への対応を熱心にしていた先生からは保護者対応について教えてもらいました。

子どもには自由を与えなきゃいけない

高校教師として勤務する傍ら、岐阜県大垣市の不登校児童・生徒の母親たちがつくった「親の会」を長年支援しました。そこでの子どもたちとの関わりを通して、やっぱり子どもには自由を与えなきゃいけないんだと確信します。子どもたちを連れて、北アルプスの蝶ヶ岳を登ったり、大垣から琵琶湖まで歩いてみたり、学校の外でいろいろなことをやってみて、大きな効果を感じました。

この活動が、私塾となり、フリースクールの創設につながります。それがさらに発展して、西濃学園になりました。

現在の不登校の子どもたちに寄り添うには教員の力だけでは無理だと北浦さんは訴えます。子どもの行為には必ず、本人すら自覚できない意味があり、それを理解するには臨床心理学の力を借りる必要があるというのです。

一般的な学校の場合、スクールカウンセラーは非常勤が多いのですが、西濃学園には中高合わせて常勤のスクールカウンセラーが2人、非常勤が2人います。2カ月に1度は、外部の専門家を招いて、常勤のカウンセラーと全職員とで、ケースカンファレンスを行います。すべての生徒の状況を共有し、かかわり方の方針を確認するのです。

さらに、常勤カウンセラーが日常的に生徒たちと直接かかわっており、カウンセリングマインドが学校の文化になっています。愛知淑徳大学の心理学専攻の大学院生の実習校にもなっています。

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