「発言しない人」「話し続ける人」差を埋めるスゴ技 数人だけが発言している状況をどう変える?

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魅力的なクイズができたとしよう。そのクイズに対する解決策を1人ずつ口頭で答えてもらう。そこで、何が起こるだろうか。早ければ3人目、遅くても5人目あたりで「前の人と同じです」あるいは「ボスと同じです」などという回答が出てきてもおかしくない。

良くも悪くも、僕たちは協調性がある。まして、ボスが参加しているなら、「こいつ、なかなかわかってるな!」とボスに評価されたいほうに僕たちの重心は傾く傾向にある。ところが書いて発表する会議の手順に変えると何が起こるだろうか。

書いている間は他の人の意見に左右されない

仮に同じお題で、同じ顔ぶれだったとしても、書いて発表する会議手順がひとたび合意されると、僕らが持つ力学とは裏腹に、会議がガラリと変わる。なぜなら書いている間は他の人の意見に影響を受けないからだ。それが1つ目の書いて発表するメリットだ。

事実、何万回とこの手順でクライアントの会議を進めてきたが、過去に1度たりとも「社長と同じです」あるいは「隣の人と同じです」と書いて発表した人は現れていない。

念のために次のような実験結果も共有しておこう。まずある6人が会議室に召集される。そしてその場で、ある二律背反する問題を解決すべくブレーンストーミングを試みる。要は、アイデアを出しまくり(拡散)、それをまとめる(収束)という会議だ。それが終わると、研究者たちがアウトプットされたアイデアを集計分析し評価する。

次も同様に6人で会議室に集められる。しかし今度は対話ではなく、6人それぞれが自分の頭だけを使って解決策を考えるように促される。そして、各自が自分1人で生み出したアイデアを黙々と紙に書き続ける。

このような調査を80回以上行ったところ、紙に自分の考えを無言のまま書いたほうが、お互いに意見を出し合って話し合うより、アイデアの数でも質でもはるかに上回っていたらしい。そして、この差は、会議に出席する人数が多ければ多いほど開いていく。

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