お葬式の「生花祭壇」づくりの知られざる世界 この世界に入り11年の彼女が語る「やりがい」

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そのことについて古屋さんは、「ジャパンカップに出場するのは、20年、30年とお花に関わってきた方たちばかりです。まだ10年程度の私は、出場できただけでも嬉しいことですし、ファイナルまでやらせてもらえたことは、とてもありがたいことです」と受け止めている。

ジャパンカップは、古屋さんが日頃製作している生花祭壇ではなく、花の技術やデザイン力をみせる競技であり、「毎日、仕事が終わってから、必要な練習をひたすら行いました」と検定と同様に練習する日々が続いた。

仕事のやりがいは?

こうした研鑽を積み重ね、花のデザインコンテストなどでも上位入賞するようにもなった古屋さんに、生花祭壇作りという仕事のやりがいを尋ねると次のように話す。

「ご家族様が式場に入ってこられたときに、私が作った花祭壇を見て、イメージ通りだと涙を流してくれる方がいます。あるいは、大切な方が亡くなって、それどころではない状況のはずなのに、わざわざ『素敵な花祭壇をありがとうございます』という言葉をいただくこともあります。そうしたときに、大変だったことはパッと消えて、また良い花祭壇を作ろうとやる気が湧いてきます」

だが、古屋さんが入社した当時は、葬儀の仕事に抵抗があった。毎日、お棺を見たり、亡くなった方と会うのがつらかった。ご遺体が怖くて近づけなかったり、友人に葬儀の花祭壇をつくる仕事をしているとは言えずにいたそうだ。

また、生花祭壇作りは、肉体労働で体力勝負の仕事である。さらに、水仕事であり、冬は寒くて手から血が出たりすることもよくある。そのため、現場で長期間勤める人は少ない傾向にある。

それでも、古屋さんがここまで続けてこられたのは、「知識が増え、技術力が上がることによって、故人様やご家族様のさまざまなご要望に対応できることが増え、その結果、ご家族様からの喜びの声、ありがたい言葉をいただけるからだと思います」と振り返る。

最後に今後の抱負を尋ねると、

「自分の得た経験を元に部下の育成をしながら、日々の研鑽も怠ることなく、お客様に感動していただける仕事を目指し続けていきます。生花祭壇の施工のプロでありながら、デザイナーとしての腕も磨くことでお客様に最高な花の喜びを伝えていきます」

と古屋さんは力強く語った。

塚本 優 終活・葬送ジャーナリスト

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つかもと まさる / Masaru Tsukamoto

北海道出身。早稲田大学法学部卒業。時事通信社などを経て2007年、大手終活関連事業会社の鎌倉新書に入社。月刊誌の編集長を務める。2013年フリーライターとして独立。ライフエンディングステージの中で「介護・医療」と「葬儀・供養」分野を中心に取材・執筆している。ポータルサイト「シニアガイド」に「終活探訪記」を連載中。「週刊高齢者住宅新聞」などに定期寄稿。

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