お葬式の「生花祭壇」づくりの知られざる世界 この世界に入り11年の彼女が語る「やりがい」
配属されたのは、生花祭壇施工部だった。約200名の社員を擁し、ユー花園の売上高の約80%(2021年実績)を占める主力部署だ。
施工部が行う仕事の一般的なパターンは、葬儀社からカタログで受注し、祭壇を作成すること。祭壇に合った道具類、土台、予備の花、飾りなどをトラックに積み込んで「通夜」の会場まで運ぶ。式場では、葬儀社に指示された場所に土台を置き、祭壇を飾る。それを遺族に見て確認してもらい、修正依頼があれば対応する。
通夜の翌日は、「葬儀・告別式」が行われる。告別式の最後の火葬場への出棺前に、参列者が棺を囲み、故人のまわりに花を手向ける「お別れの儀」が行われることが多い。ユー花園の担当者が生花祭壇の花を摘み、お盆に載せて遺族に渡す手伝いをする。遺族・参列者が退席した後、祭壇を撤去してトラックに積み込み、帰社する。
プロとして努力の日々
古屋さんは、この施工部で社員として6年、主任として5年、計11年仕事を続けてきた。生花祭壇作りのプロとして、特に重視していることは何かと尋ねると、「故人様やご家族様が思い描く祭壇の、イメージ通りの空間装飾に仕上げることです」と答える。
では、そのためにどのような研鑽を積んできたかと聞くと、主なものとして次の4つを挙げる。
2)「生け花」や「フラワーデザイン」に関する勉強
3)「空間の使い方」や「表現力」などに関する勉強
4)「2022ジャパンカップ」への出場・入賞
1つ目のAFFAとは、一般社団法人フューネラル・フラワー技能検定協会である。葬儀における生花装飾者の技術を証明するための検定資格で、S、A、B、C、Dの5段階の級がある。最上位のS級は、難易度が高く、ユー花園のS級合格者は24名と少ない。古屋さんは、このS級に入社10年目に合格した。
古屋さんは、S級に合格するのはとても大変だったと話す。「検定では、例えば、直線や曲線を描かなければならないのですが、生の植物で直線や曲線を描くにはものすごく技術がいることで難しいのです」。
先輩から「とにかく花を挿さないとうまくならない」と言われ、ひたすら練習を重ねた。仕事が終わってから毎日1時間から3時間、検定が近くなると日付が変わるくらいまで練習した。S級検定では、デッサンの試験もあり、デッサンについても「時間があったら、毎日、ひたすら描きました」と言い、合格するために膨大な時間を費やした。
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