もうすぐ30代「ももクロ」私たちを魅了し続ける訳 TBSから異色のドキュメンタリー作品が登場

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そうした下地があり、TBSではドキュメンタリー番組を劇場公開できないか、という機運が高まった。そこで2021年11月に満を持して、TBSのドキュメンタリー映画を総括する新ブランド『TBS DOCS(ドックス)』が誕生することとなった。

『TBS DOCS』ブランドがまず手がけたのは、TBSの『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』チームと、『はりぼて』のチューリップテレビがタッグを組んだドキュメンタリー映画『私は白鳥』。

2019年5月に富山のチューリップテレビで放送されたドキュメンタリー番組では、傷ついた白鳥を世話し続けるひとりの“おじさん”を追った内容で海外でも高い評価を受けたが、そのテレビ版に、2年以上にわたる追加取材を敢行して映画化した。

さらに今年3月には、アフリカ大陸コンゴで5万人もの女性を救ってきた婦人科医、デニ・ムクウェゲ氏を追ったドキュメンタリー映画『ムクウェゲ「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』も公開されている。もちろん今回の『ももいろクローバーZ ~アイドルの向こう側~〈特別上映版〉』も『TBS DOCS』ブランドの一本となる。

『TBS DOCS』を手がけるメディア企画室の藤井和史担当部長も「このプロジェクトでは、自由に企画を提案できる反面、やはりビジネスとして成り立つのかというところは考えないといけない。ただしビジネスの面だけでなく、それが世に出す意義はあるのか。そしてそれを長い目で見ればTBSのブランド力を高めることにつながるのか、という点で評価されるならば、そういう作品も出していくことはあります」と本プロジェクトの意義を語る。

テレビにしかできないこともある

世間ではテレビ離れという言葉がまことしやかに流れているが、それでもテレビにしかできないことはある。

「10年、20年前くらいに撮影できたものも、今はどんどん規制が厳しくなってしまい。同じ場所でも、前と同じようには撮影できなくなってしまったということは多々ある。だが、TBSにはそういった貴重な映像がたくさんあるので、それを眠らせておくのはもったいない。今までは、テレビマンが作るコンテンツも、放送というものが最大、かつほぼ唯一の出しどころだったんですが、今はいろんな形で皆さんに観ていただける。そういう道が開けている時代なんだろうなと思いますし、コンテンツを作る人間としても、いろんな可能性を探っていきたい」(酒井監督)

テレビの可能性を押し広げる今回のTBSの試み。今後、どんなユニークな映像が劇場で披露されるのか。今から楽しみだ。

壬生 智裕 映画ライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事