コロナ禍でネズミの「行動」が変わった驚愕事実 ニューヨークで自動車のネズミ被害増えたワケ

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ほかのニューヨーカーと同じく、ネズミも激変する環境に適応を迫られたわけだ。

パーソンズと共同研究を行ったフォーダム大学の生物学教授ジェイソン・マンシ=サウスは「ネズミは人間の行動の変化に極めて迅速に適応できる」と指摘する。「コロナ禍による人間の行動変容はネズミにも影響を及ぼしたということだ」。

ネズミは食料源の近くにとどまるのが普通だが、コロナ禍でいつもの食料源が断たれると、以前よりもリスキーな行動に出るようになった。真っ昼間に、餌がありそうなゴミ袋の山に駆け込むといった行動だ。

人間の行動はこのところ、以前の「常態」に回帰しつつあるが、同様の回帰現象はまだネズミには見られない。ネズミは、餌の獲得手法を多様化させただけだ。ゴミをあさってピザの切れ端を持ち去るといった行動を続ける一方で、ネズミの間では、ハトやほかのネズミを襲って食べるという異常な行動の頻度も高まったようだ、とパーソンズは話す。

大豆由来の自動車部材はネズミのおやつ

一部の研究者や整備士によると、車の配線に使われる大豆由来の新しい保護材(基本的にネズミのおやつになるとパーソンズは言う)や、コロナ禍で拡大したレストランのテラス席も、車に忍び込んで餌を食べるネズミの増加につながった可能性がある。

パークスロープにある「パークサイド・オートケア」の整備士、チャーリー・サリノは、フンのような明らかな痕跡からネズミがエンジンルームをねぐらにしていることに気づく顧客が多いと言う。

しかし被害の程度は、ボンネットを開けて中をのぞき込んだだけではわからない。「ネズミは、エンジンまわりの部品を外さないとアクセスできない場所にまで入り込むからね」とサリノ。「1時間ですぐに直せることもあれば、全部直すのに1000ドルかかることもある。やってみないとわからないんだ」。

(執筆:T.M. Brown記者)
(C)2022 The New York Times

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