ダイハツ「可愛さのチューニング」踏み込む背景 2代目ムーヴ キャンバス開発で求められたこと

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この「可愛さ」とは、見た目の可愛らしさ。特に大胆なツートーンのボディカラーが大部分を占めている。これはユーザー、販売店、そしてダイハツの共通認識だ。そこで2代目ムーヴ キャンバスでは、初代のアイコンにもなったツートーンボディカラーの仕様を「ストライプス」、モノトーンを「セオリー」として差別化を図った。

モノトーンボディカラーの「セオリー」
落ち着いた雰囲気としたモノトーンボディカラーの「セオリー」(筆者撮影)

デザイン担当者は、「クルマにあまり興味のない女性にとっても、ストライプスはとても印象に残る、街中でクルマが埋もれないデザイン手法だ」と指摘する。

ストライプスのようなツートーンボディカラーの起源を探れば、1960年代から1970年代にかけてグローバルで販売された、フォルクスワーゲンの商用バン「タイプ2(2代目トランスポーター)」を連想する人も少なくないだろう。ダイハツのデザイン担当者は「ストライプスは普遍的でタイムレスなデザイン手法だ」と表現する。

近年でも、キャンピングカーなどのカスタマイズカーでは、ストライプス的なデザイン手法が用いられることがあるが、大量生産車では比較的、珍しいデザインである。多くの場合、ツートーンカラーは、ボディ部分とルーフ部分でのツートーンとなっている。

ターボエンジン登場だけでは

そうした中で、ムーヴ キャンバスに初のフルモデルチェンジで最重要視されたのが、「可愛さのチューニング」だという。

クルマ本来の性能としてみれば、タントやタフトで採用した新型車体であるDNGAの熟成や、これまでになかったターボエンジンの導入などで、快適性や走行性能は大きく向上している。しかし、ムーヴ キャンバスにとって、それだけでは正常進化とは呼べないのだ。

「ムーヴ キャンバス」として初搭載となるターボエンジン(筆者撮影)

外観デザインについては、新たなる可能性をいろいろ検討した結果、「デザインテイストとして大きく引っ越していないところに落ち着いた」(小村氏)という。具体的には、「甘い可愛さ」から「洗練された可愛さ」へのチューニングだ。

デザイン担当者は「甘い可愛さが『私、可愛いでしょ』と周囲にアピールするイメージなのに対して、近年はより健やかにすっきりとした可愛さが、クルマに限らずさまざまなプロダクトで求められるようになっている」と言い、この理解を開発陣で共有してきたと説明する。

結果的に、初代では“あどけなさが残っていた顔”が“ちょっと大人っぽい”印象に変わった。ただし、鼻(ダイハツロゴ)がなくなったことへの対応をかなり気にしたという。

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