今後の日経平均は「大相場」「下落」のどっちだ 別な角度から見れば、一目瞭然かもしれない

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5日のアメリカ株は意外な値動きだったかもしれない。今後の日経平均は上昇、下落のどちらになるのか(写真:ブルームバーグ)

前回のコラム「日経平均株価は『超重要ゾーン』を突破できるか」では、本年3月の「日経平均9連騰ゾーン」である高値2万8149円を超えることこそが「買い」に重きを置く投資家が真に喜ぶときだとした。

「天井打ち」で今後は下落?それとも上昇する?

しかし、先週末5日の日経平均株価の引け値は2万8175円と、超重要ゾーンを超えたものの、投資家の高揚感は意外に少ない。その理由は主に2つ。今年の戻り高値である3月29日の2万8252円と、6月9日の2万8246円をまだ抜いていないことと、基本的に今回の戻りが売りすぎた(弱気になりすぎた)反動の買戻しにすぎないと考えている投資家が多いためだ。

さらに「日経平均株価のEPS(予想1株利益)が史上最高の 2208円となっていることも重要な理由の1つとされる。だが「急激な円安メリットを除けば実質は減益」と冷静に考えている投資家も一方で多いことだ。そして買い戻しがピークを迎えるのが200日移動平均線(5日現在2万7558円)の付近であり、2万8000円台は当面の売り場だと考えている投資家も多い。

もしその通りだとすると、上記の3月29日と6月9日の高値、さらに5日の高値が今回の高値となった場合におけるチャートの形は、見事なトリプルトップの天井型になる。つまり、ここで終わってしまうと、今回の上昇は、トリプルトップの天井形成の格好のおぜん立てをしたことにすぎなくなる。

アメリカと中国の関係悪化を懸念する向きも少なくない。アメリカのナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問による米中間の緊張の高まりは、日本も無縁とは行かなかった。4日には、EEZ(排他的経済水域)内への中国のミサイル落下などの直接的影響もあった。ペロシ議長の訪問の可能性が高いと伝わると、ロシアのウクライナ侵攻とは違う身近な地政学的リスクとして日本市場を襲い、2日の日経平均株価は一時400円を超す下げとなった。

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