今後の日経平均は「大相場」「下落」のどっちだ 別な角度から見れば、一目瞭然かもしれない

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ただ同日、リッチモンド連銀のトーマス・バーキン総裁が、「雇用増が毎月40万人近いことに加え、失業率が約50年ぶりの低水準近辺にあることを踏まえると、景気後退(リセッションシ)懸念と矛盾している」と事前に発言していたこともあり、アメリカの株式市場は、この雇用統計を比較的冷静に受け止めたようだ。NYダウの5日の終値は3万2803ドルと前日比76ドル高で終了している。

「史上最高の予想1株利益」をどう考えるべきか?

前出のように、日本株は4〜6月期決算で日経平均株価の予想1株利益が史上最高になっても信用されていない。だが、今後、秋以降7~9月期の分析が進むに従って「意外に悪くない決算」と評価されて来るはずだ。

また、日経平均予想PERの12倍台という数字も、過去20年間の平均16倍を考えると「下げよりは上げ」となるのに十分な材料になると思っている。買い戻し相場の均衡点と言われる200日移動平均を超えた期日は、5日で13日間となり、総合乖離(25・75・200日移動平乖離率の合計)は「プラス2桁」となった。投資家の評価損は急速に減少しており、トリプルトップの天井形成よりも、5月12日の2万5748円と6月20日の2万5771円をダブルボトムとする「上昇波動の発生!」の方がより自然だと思うのだが、どうだろうか。

このように日経平均の今回の上昇は、大相場のスタートか、トリプルトップのお膳だてに過ぎないのか、激しいせめぎ合いの最中のように思われる。

だが、実は、外国人投資家がドルを通して見た日経平均の景色はまったく違う。攻防戦の中心である日経平均2万8000円は、昨年の高値から見ると10%も下がっていない位置だが、ドルの世界から見ると、昨年2月15日の日経平均は286ドルであり、2万8000円を1ドル=135円で見た207ドルは27%下の位置になる。

直近安値であるの7月12日の2万6336円は、この時点のドル円レートで191ドルであり、高値からなんと30%安の位置になる。円安とともに一貫して下がったからで、トリプルトップの天井などという攻防の節目もない。最近の日本メディアは、世界に比べ割安になった土地や労働力の特集をしているが、株式市場こそ、割安だと言えるのではないか。年後半の運用に苦慮する世界のファンドが、日本の割安感に着目し始めたとも聞く。やはりチャンスではないか。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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