飲み残し「ペットボトル」を平気で捨てる人の盲点 どのようにリサイクルされるか知っていますか?

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木下フレンドは大規模なリサイクルラインを稼働させているが、すべてが機械化されているわけではない。人の手が必要な箇所があり、所々にスタッフが入り選別作業を行っている。

そのスタッフのほとんどが元収集車の運転手で、加齢により車の運転に不安を感じた55歳から60歳までの社員が配置転換を希望してなっている。リサイクルラインは朝8時から夕方5時まで稼働させており、50分経過すると10分休憩を取る形で、午前中4回、午後に4回分の仕事をしている。

手作業のうちの1つである混合廃棄物が投入された直後に行う粗選別では、スチール缶やアルミ缶やペットボトルではない不適切物がリサイクルラインに入って稼働が止まらぬよう、事前に目視して手作業で抜き取っている。

中には飲料容器の中にタバコの吸い殻が入れられたもの、飲み残しがあるもの、ひどいときには飲料容器に交ざって注射器、ライター、電子タバコのリチウム電池、大工仕事で使う工具なども捨てられていることもある。これらはリサイクルできないどころか発火の恐れがあるものもあり、手作業で事前に取り除かなければリサイクルラインが止まりかねない。

リサイクルラインからは大きな音が発生するため、スタッフは耳栓をする。また、鋭利なもので手を切らぬよう防刃手袋をはめて作業を行っている。屋根はあるとはいえ屋外に近い環境での作業になるため夏場は高温となり、かなり臭いも伴う中での作業となる。このような状況にもかかわらず、スタッフは分別不良による危険物と対峙しながらも、廃棄物処理過程の安定的稼働の一翼を担っている。

木下フレンドは中間処理事業を営む営利企業であるので、中間処理にかかる手間やリスクは当然のこととして負担すべきという声もあるだろう。しかし、すでに資源循環サイクルの廃棄物処理の一端を担って稼働し続けている以上、この中間処理事業が欠けてしまうと私たちの身の回りに飲料容器が散乱するような状況へとなりかねない。

外出先でも守るべき分別ルール

外出先でのごみ排出に関しては、自分の家から出されたごみではないため適当になりがちだが、これまで説明してきたように、適当な排出は私たちの生活環境に影響が生じてしまう可能性もある。

では、今日からできることは何か。その場に示された選別のルールを守り、不適正排出物は絶対に出さないようにする必要があるだろう。とくに、飲料容器などのリサイクル品については、容器の中にごみを入れて排出せず、なるべくきれいな状態で出すことが求められる。

身の回りにあるものの使用後の行き先や、ごみの向こう側にいる人が見えてくると、おのずと自らの排出行為が変わっていく。また、その人たちに配慮した排出へともなっていく。ごみの向こうに人がいることを忘れないでほしい。

藤井 誠一郎 立教大学コミュニティ福祉学部准教授

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ふじい せいいちろう / Seiichiro Fujii

1970年生まれ。同志社大学大学院総合政策科学研究科博士後期課程修了。博士(政策科学)。同志社大学総合政策科学研究科嘱託講師、大東文化大学法学部准教授などを経て現職。専門は地方自治、行政学、行政苦情救済。

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