炎天下の中を歩いていると、自動販売機の横に備え付けられた回収ボックスから飲料容器があふれ出ているのを目にするが、それらの容器を処理・処分している人がいるため、私たちの生活環境からごみがなくなり衛生的な環境が維持されていく。当然ながらごみの向こうには人がいるのだ。
本稿では、家庭“以外”から排出される飲料容器に着目し、それらがどのように処理・処分されているのか、また、その処理の過程に従事する人々に迫り、今後私たちがごみの排出時に何を注意したり、心掛けたりすればいいのか考えてみたい。
業者による飲料容器の収集と中間処理
前述したように、外出先で排出する飲み終わったペットボトル、瓶、缶などの飲料容器は産業廃棄物となるため、収集ボックスを設置している者が処分する責任を負う。しかし、自らで処分はできないため、契約する業者に処分を依頼する。筆者は本稿の執筆にあたり、その業者の1つ、埼玉で中間処理事業を展開する「木下フレンド」社のご協力をいただき、飲料容器を処理する過程を見学した。
木下フレンドは、各種小売店、外食産業、公官庁、学校、病院、ホテル、オフィスビル、球場、遊園地、鉄道駅など、約4500社と契約し、保有する約200台の収集車のうち40台を利用してスチール缶・アルミ缶・ペットボトルといった飲料容器を収集し、リサイクル業者に引き渡す事業を展開している。
収集作業は、日中はもちろん深夜時間帯にも行われる。顧客のもとを訪問し、清掃車に飲料容器がいっぱいになるまで約8時間かけて収集して所沢市に擁する中間処理工場のリサイクルラインに搬入する。
収集ボックスを設置する事業者が、排出する飲料容器を種類ごとにしっかりと分別してくれれば作業は容易になるのだが、現実的にはかなり難しい。例えば駅のホームに設置しているごみ箱を想像してほしい。
そもそも細かく分別するスペースもなく、不特定多数の排出者に対してその場で細かい分別方法を指示するのは難しく、さらにかなりの量が一度に排出される。そのため、いったんは「飲料容器」など大きなカテゴリに分けて排出してもらい、そこから各種容器を選別していく形をとらざるをえない。
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