【あがり症・原因編】人前で話すと声が震える訳 学生時代のトラウマで長年、悩んでいる人も…

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最近では経営者に加え、管理職や公務員、学校の先生、医療従事者からの問い合わせも多いという。特に増えているのが公務員と、学校の先生だ。

「公務員はコロナ禍で住民説明会や、記者会見などで人前に立つ機会が増えています。学校の先生も多く、校長先生も少なくありません。入学式や卒業式、入学説明会など、(リモートから久々に対面が解禁されたことで)人前に立つ機会が増えたことも関係しています」(鳥谷さん)

鳥谷さんによると、あがり症になりやすい性格があるそうだ。それは、自分の失敗を許容できない人や、真面目な人だ。

「そういう性格の人が何らかの場面で失敗すると、それがきっかけとなってトラウマ(心的外傷)が生じます。その後同じような状況になると、また失敗するのではないか、という予期不安にかられて、緊張が高まります。その結果、手や声の震えなど、いわゆる“あがる”という状態に陥るのです」(鳥谷さん)

経営者は仕事をスムーズにこなせて、周りの人からの期待が高いからこそ、自分の失敗が許せない人が多いという。

あがることで起こる症状は?

あがることで生じる症状は、体が緊張しているときに生じる症状でもある。具体的には、顔が赤らむ、手が震える、声が震える、冷や汗をかく、などといったものがある。そのなかでもいちばん当事者が困っていて、改善の要望が強いのが、声の震えだ。

「声の震えに悩む人の多くは、学生時代、授業中に教科書を音読するときに声が震えてしまったのがきっかけになっているようです。中学から高校は思春期ということもあって、人目も気になりやすい。それがあがり症を深刻化させてしまっています」(鳥谷さん)

ではなぜあがると心臓がドキドキして、声や手足が震えるのだろうか。そこに深く関係しているのが、自律神経だ。

自律神経系とは、人間が生きるために必要なさまざまな活動をつかさどっている神経のことだ。体が活動しているときに活発になる「交感神経」と、リラックスしているときに活発になる「副交感神経」がある。

人前で話さなければならないなど、緊張する場面では、交感神経が優位になる。すると体はその緊張する場面に備えようと、心拍数や体温、血圧が上昇して、発汗や震え、赤面などの反応が起こる。これがまさに“あがる”という状態だ。

ただ、緊張することや、あがること自体は、体の自然な反応であり、誰にでも生じる。「それが、『あがり症』という病的な状態につながるかどうかは、あがり症になりそうな場面を意識的・無意識的に避けているかどうかが、1つの目安になります」と藤井さんは話す。

なぜそういう場を避けるかというと、「人前で話すことに大きな苦痛を感じる」からだ。つまり、それは社会生活に支障が出ているというSOSサインともいえる。

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