コロナ禍で対面機会が減っていることで、緊張する場面を自然と回避できてしまっている。
だが、藤井さんによると、この状態を長く続けると、いざ人前で話さなければならないときに、かえって緊張の度合いが高まり、症状が悪化してしまう恐れがあると、警鐘を鳴らす。
「緊張する場面を避けるのは、一時しのぎにすぎません。大勢の人の前で話さなければいけない場面も、いつかは直面することになります」(藤井さん)
あがり症になるのは、周りからどう思われているかを気にしてしまう、いわゆる“自己肯定感が低い人”が多い。
「例えばスピーチなど、人に望まれるのは喜ばしいことであり、緊張できるのは、成長の機会にもなるありがたいことです。自分を否定したり、情けないと思わなくても大丈夫です」と鳥谷さんは語る。
あがり症克服のきっかけに
藤井さんも、「多少の緊張はむしろパフォーマンスを向上させてくれるものであり、素晴らしい結果を出すことができます。他人にどう見られるかにとらわれず、あがってもいい、失敗してもいい、ぐらいに思えれば、あかり症克服のきっかけになります」と、アドバイスする。
あがるのは、決して悪いことではない。だが、それが過度になって日常生活や、社会生活を送るのに不自由を感じるのであれば、それは何とかしなければならない。そのためトレーニング方法を鳥谷さんから教わった。次回の記事で紹介する。
(執筆:編集部・若泉もえな)
(この記事の続き:【あがり症・対策編】緊張和らげる即効ストレッチ)
鳥谷朝代
心理カウンセラー、NHKカルチャー、中日文化センター話し方講師。中学の本読みで発症以来17年間苦しめられたあがり症を克服。14年勤めた名古屋市役所を退職し、2014年、全国初の元あがり症によるあがり症のための協会「一般社団法人あがり症克服協会」を非営利団体として発足、理事長に就任。全国各地のカルチャースクール、学校、企業・団体で年間200回以上の講演活動を行う。「あさイチ」「ごごナマ」「ZIP!」など、テレビ出演も多数。著書に『人前で「あがらない人」と「あがる人」の習慣』『人前であがらずに話せる方法』など。
精神科医・医学博士
藤井英雄
1957年、神戸生まれ。鹿児島在住。鹿児島大学医学部卒業、同大学院博士課程卒業。心のトリセツ研究所代表。マインドフルネス瞑想家および指導者、日本キネシオロジー学院顧問、現役精神科。心理学・東洋医学・氣の豊富な知識に加えて、40年の瞑想歴、25年以上のマインドフルネス瞑想の実践を通じ、ネガティブ思考を克服した自らの経験をもとに、マインドフルネスの指導を開始。ブログやフェイスブック、セミナー、『1日10秒マインドフルネス』、『マインドフルネスと7つの言葉だけで自己肯定感が高い人になる本』などの出版を通じて、積極的に情報発信している。
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