教養を身につけたいなら「ググる」のがいい理由 成毛眞さんが語るインプット・アウトプット術

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一方で、やってはいけないのが無理して古典を学ぶことです。19世紀以前に書かれた哲学書や文学作品などは、好きな人は読めばいいですが、そうではない人はわざわざ読まなくてもいいと思います。

なぜかというと、古典はサイエンスなどの知識が今よりなかった時代に書かれたものだから。デカルトやパスカルといった天才たちは、当時の最新の知識に基づいて名著を執筆しました。彼らが今の時代を生きていたら、今の知識をもとにまったく別の本を書いたでしょう。知識がなかったときに書かれた本を無理して読むのは、時間がもったいない。

教養を身につけるとどんな可能性が生まれるか

――学んだ内容を血肉にするためのおすすめのアウトプット方法はありますか。

「文章を書くこと」「書いた文章を人に読んでもらうこと」です。得た知識を論理的に説明しようとすると、頭の中が整理されます。そのうえ文章は、ごまかしがききません。わかっているふりをすると読者にバレます。

最低でも800字程度の文章をnoteやFacebookで発信するといいでしょう。また文章を書くときは、どんな反論がくるかをあらかじめ想定することが大切です。テーマや読者によっては、書き方を変える必要があります。

例えば「地球は丸い」という表現は、一般の方に向けて書く文章であれば問題ありません。ただし、気象や火山がテーマの文章の場合は、「地球は赤道方向に膨らんだ回転楕円体に近い形をしている」と補足しなければ誤解される可能性があります。

『39歳からのシン教養』(PHP研究所)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

ちなみに、アウトプットには文章以外に動画や写真などさまざまな方法がありますから、いろいろ試してみて、向いていると思う方法を選べばいい。

ただ、一番手軽なのは文章でしょう。本当にうまい文章を書くには才能が必要ですが、才能がなくても練習すればある程度うまくなれます。練習すればするほど成長を実感できるはず。

――文章で発信することで、どんな可能性が生まれるでしょうか。

今まで会ったことがない人と会えるようになって、面白い話を聞けたり、思わぬチャンスに恵まれたりします。僕の場合は、大学教授や理論物理学の研究者といった人々と仲良くなりました。僕の周りにも学歴や職業を問わず、文章で発信したことをきっかけにネットワークを広げ、新たな仕事や研究を始めた人がいます。

ミュージシャンや俳優、社長になれば、今まで会ったことがない人に出会えますが、それは現実的ではない。一方で、教養を磨き、得た知識を文章でうまく発信できれば、意外に会えるようになるかも。人生が大いに変わる可能性があります。

(構成:三間有紗)

成毛 眞 元日本マイクロソフト社長、HONZ代表

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なるけ まこと / Makoto Naruke

1955年北海道生まれ。元日本マイクロソフト代表取締役社長。1986年マイクロソフト株式会社入社。1991年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立。現在は、書評サイトHONZ代表も務める。『amazon 世界最先端の戦略がわかる』(ダイヤモンド社)、『アフターコロナの生存戦略 不安定な情勢でも自由に遊び存分に稼ぐための新コンセプト』(KADOKAWA)、『バズる書き方 書く力が、人もお金も引き寄せる』(SB新書)など著書多数。

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