教養を身につけたいなら「ググる」のがいい理由 成毛眞さんが語るインプット・アウトプット術
――教養を身につけるための「ググり方」について、本書で「2段階ググり術」「超・画像検索法」など11個のユニークなスキルが紹介されています。なかでも、テレビ番組で興味のあるキーワードを見つけてからウィキペディアでググるという、「テレビ×ウィキ合わせ技」が興味深かったです。
人間は「自分が何を知らないかを知らない」生き物です。だからこそ、「こんなこと知らなかった」という驚きが、突き詰めて学ぶきっかけになるかもしれません。ところが単にググるだけでは、興味があることしか調べられない。インターネットは、「自分が何を知らないか」を教えてはくれないのです。これがインターネットの最大の課題です。
「何を知らないかを知ること」が教養を身につける一歩と言えるでしょう。そこで、何を知らないかを教えてくれるものから学ぶことが大切です。その点、教養系のテレビ番組を見ていると「え? 知らなかった」というキーワードに驚くほど出会えます。
ググる量が減るからメモはとってはいけない?
――本書では、NHKの教養番組を勧められていますね。
例えばNHK Eテレの『サイエンスZERO』は入門番組ですが、タンパク質や宇宙、機械工学と幅広いテーマを深掘りしています。先日も見ましたが、知らないことが半分ぐらいあったので目が点になりましたね。
週1回『サイエンスZERO』を見ながら知らなかったことをググるだけでも、1年後にはサイエンスの領域で約50種類の知識が身につきます。3年後には約150種類。3年間継続した人とそうでない人では、サイエンスに関する知識量の差は桁違いに大きいはずです。
――ググっているとき、復習用にメモをとりたくなる人もいると思いますが、本書では「メモはとるな」と断言されていました。
メモは絶対に取らないほうがいい。メモをとっていると、ググる量が減ってしまいます。
科学や医療などに関する情報量は、戦後間もない頃と今では比べ物になりません。例えばDNAの二重らせん構造が発表されたのが1953年。それから今日に至るまで、分子生物学の知識は爆発的に増えました。高校の生物Bの教科書は、自分が高校生だった頃から様変わりしています。今の高校生は、授業で遺伝子組み換えの実験をしているんです。
増え続け、更新されていく情報をキャッチアップするには、量を確保することが大切。メモを取っている場合ではありません。そもそも調べたらわかる内容を復習したり、暗記したりする必要もないでしょう。
――本書では11個のスキルとひもづけつつ、歴史や数学、宇宙技術などさまざまな分野の勉強法が紹介されていますが、なかでも読者に着目してほしい分野はありますか。
絶対に外せないのがサイエンスです。サイエンスの知識がなければ、思い込みにとらわれて生きてしまう可能性があります。サイエンスにもさまざまな分野がありますが、まずは興味のある分野から学んでいってほしい。好きな分野じゃないと長続きしませんから。
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