24歳の「かまぼこ屋社長」次々訪れた不思議な転機 130年超続く店にかかってきた電話がきっかけ

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3年ぶりの製造でも、吉開さんの勘はまったく鈍っていなかった。翌日にはお店を開けて、近所の住民や応援してくれる人を招き、前日に作ったかまぼこを配った。「お店に立った吉開さんはずっと笑顔で、とても幸せそうで。やはり絶対に買収先を探さなければと改めて思いました」(林田さん)

数日後、福岡市のシステム会社「フロイデ」がM&Aのため製造業を探していると聞き、林田さんは試作のかまぼこを持参した。するとフロイデの社長が「おいしいね」とその場で1本食べ尽くし、林田さんの話を聞いたうえで、「吉開さんに会いたい。作るところを見たい」と関心を示した。

11月、製造現場を見学した社長は、その日のうちに「買収します」と即決。自分が社長を兼任して、12月に株式譲渡することが決まった。

思いがいちばん強い人が真ん中に立つべき

安堵していた林田さんに、調印式の1週間前、フロイデの社長から電話がかかってきた。まさかトラブルかと恐る恐る出ると、「林田さんに社長をやってほしい」と意外なひと言が。

「エーッと驚きました。自分が継ぐなんて考えてもなかったから」と林田さん。社長は言葉を続けた。「再開にあたっては、いろいろな人の応援が必要になる。思いがいちばん強い人が真ん中に立って、周りを巻き込んでいかなければいけない。自分が社長兼任なんて浅はかだった。任せられるのは林田さんしかいない」。納得した林田さんは、社長就任を決めた。

林田さんが社長になると知った吉開さんは「あなたが社長をしてくれるなら、よかね」と大賛成。林田さんの両親も喜んでくれたという。2021年12月、林田さんが社長、吉開さんが会長となり、吉開のかまぼこは新たな船出を迎えた。

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