「リノベ」でいつだってやり直せる、家も人生も ドラマ『魔法のリノベ』が描きたかったこと
西尾:築100年レベルの古民家住宅といわれる建物は、3つの価値があります。1つは建物がそもそも生み出す価値。100年前の材木って、すごく貴重な、日本の木材ばかりで建てられていたり、大きな棟丸太や差鴨居(さしがもい)があったり、建物そのものに価値があります。もう1つは、そこに住む人の気持ち、思い出、歴史というような価値。あとは、周辺に対する価値です。小学生が見学に来るとか、風景に趣をもたらすといった、地域での役割を担っている部分があります。古民家住宅をつぶして新しいものを建てるのは本当にもったいない。
普通の家でも、「親父が苦労して建ててくれた家だ」ということだけで、自分たち家族にとっては価値があります。ドラマでも第1話がまさにそういう話ですね。
建物の思い出や歴史に価値がある
上田:私の実家は劇団専用の場所になりましたが、「上田製菓」だったころのたたずまいは残してるんですよ。お菓子屋さんって不思議と人が集まってくるんです。近所の人や子どもたちがなんとなく入ってきて、しゃべる。劇団も人が集うものですから、これを潰して新しいビルを建てようとは思わなかったですね。
今の状態のままにしておくかまだわかりませんが、おっしゃったように周辺に対する価値があるのなら、それをうまく生かしながら生まれ変わらせていく選択肢もありそうですね。一方で、今までのことを捨てないと、次のフェーズに行けないという考え方もあるでしょうし、いろいろだとは思いますが。
西尾:私が手がけたケースで、おじいさんが亡くなった後のリノベで、花梨の板材が出てきた。高級な材木なので、せっかくだからとリノベする際に玄関の上がり框(かまち)に使ったら、一番喜んだのが中学3年生の女の子のお孫さんだったんです。「おじいちゃんの気持ちがよみがえった」と泣いて、それを見たお母さんもボロ泣きでした。家族にとって大事なものを残せるのが、リノベのいいところ、リノベの醍醐味ですね。
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