「たとえつらいときも信じていれば……もう信じられない。信じられるものは何もないわ」
シンデレラが泣いている。
美しい娘でなければ、恋も人生も楽しむことはできないのだと。
「何も? 本気じゃないはずよ。夢を信じない人のところに私は来ないわ。さぁ、でも来たでしょ? 涙を拭いて。舞踏会に行けるわよ。でも急いで。奇跡には少し時間がかかるの」
冷たい石に顔を伏せていたシンデレラは、気がつくと仙女(フェアリー・ゴッドマザー)の柔らかなひざに頬を埋め、やさしく髪をなでられていた。
ディズニー映画『シンデレラ』の有名なワンシーンだ。
リハビリメイクを指導するかづきれいこさんと有梨沙さんの出会いは、まさにシンデレラと仙女のそれのようだった。
肌をカバーし、心を癒やすリハビリメイク
リハビリメイクとは、“身体に先天的にまたは後天的に生じた皮膚疾患や外傷などの外観の問題に対しメイクを行い、社会復帰を促す方法”で、1995年にかづきれいこさんが提唱した。
かづきさんは生まれつき心臓に穴が空いていて(ASD)、冬になると顔が真っ赤になる悩みを抱えていたが、のちに手術を受け完治。これを機にメイクを学び、メイクの力で外観の悩みをやわらげ、人を元気にするメイクの価値向上に尽力している。
リハビリメイクは独自の技術であり、その施術は日本医科大学付属病院形成外科・美容外科、大阪公立大学医学部附属病院形成外科、グリーンウッドスキンクリニック立川等の“リハビリメイク外来”、またはかづきさんのサロンで行われる。
かづきさんのサロンでは直接リハビリメイクを受けることができ、施術代は1万1000円のみ。また、上記のような対応病院で施術を受ける場合は、患者は形成外科等で患部を受診した後、同病院のリハビリメイク外来を受診する運びとなる。かづきさんは各院に非常勤講師として所属、または業務委託契約をしており、病院のリハビリメイク外来でも自身が施術を行う。
形成外科等、患部の初診料は病院によって異なるが、2200円程度~で、これにそれぞれの治療内容に沿った受診料が加わる。リハビリメイク外来の初診料は1万3200円(初回リハビリメイク料含む)。再診の場合はリハビリメイクの講師が施術を担当し、再診料は5500円となる。
肌悩みを助ける化粧品には、皮膚の変色をカバーするオリリーのカバーマーク、資生堂のパーフェクトカバーシリーズのほか、舞台メイクに使うチャコットのステージファンデーションなど多くの選択肢がある。
リハビリメイクがほかと違うのは、あくまで患者に“メイク技法の習得をしてもらうこと”に主眼を置いている点である。そのため、使用する化粧品を自社製品のみに限定せず、時には患者の手持ちの化粧品を使ってメイクする場合もある。
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