リハビリメイクが蘇らせた素肌と「魔法の言葉」 最愛の娘の半身は赤いアザで覆われていた

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クラスの男子2人が、有梨沙さんに嫌なあだ名をつけてからかったのだ。

それでもそのときは担任の先生が烈火のごとく怒り、男子たちも猛省して謝ったので恭子さんは彼らを許した。

もとより恭子さんは「もしアザのことで何か言われても、1回は許そう」と有梨沙さんに話してきた。「相手も事情がわからないこともあろうから、一度目は大目に見よう」と。ただし、もし同じことを繰り返されたときは「お父さんもお母さんも絶対に許さない」。

有梨沙さんは男子たちの心ない言葉に傷つきはしたが、担任の先生も叱ってくれたので平静を取り戻した。どちらかというと、「いつか来るなと思っていたことが、ついに来た」という衝撃に、恭子さんのほうが打ちのめされたという。

クラスメイトの前でアザについて発表させられる

そんな彼女に追い打ちをかけるように、再び“事件”は起きた。

「娘が中学2年生のときです。水泳の授業で水着になるので、それとなく配慮してくださるよう先生にお願いしました。そうしたら、先生はよかれと思って娘の身体についてクラスで話し合う機会を設けてくださったんです。

“有梨沙さんのアザについて、みんなで考えましょう”と。

けれど、娘はクラスメイトの前で言いたくないことを発表させられた苦痛で倒れ、救急車で搬送されました。激しい頭痛と目眩に襲われ、限界に達したストレスから有梨沙はメニエール病を発症してしまったんです。そこから、あの子のつらい日々が始まりました」

なんとか中学を通いきり、高校に進んだ有梨沙さんだが、夏服の季節に登校できない日が続いた。思春期の多感な時期。少女らしく容姿を気にして沈む娘に恭子さんの胸は張り裂けそうに痛んだ。いっそ「なぜこんな身体に産んだの!?」と自分を責めてくれたほうが楽だと思うも、有梨沙さんは決して母を非難しなかった。

「わかってる。お母さんのせいじゃない。……しょうがないことだけど、やっぱりこのアザは嫌」と泣く娘に、共に泣きながら恭子さんは苦渋の言葉を漏らした。

「あなたが生まれてからあまたの治療を試みたけど、今の医療ではそのアザをきれいにすることはできない。つらいだろうけど、この現実を受け入れてもらうしかない」

絶句する有梨沙さんに、恭子さんは続けた。

「肌を治すことはできないけど、リハビリメイクというのがあるそうだから、やってみようか……?」

有梨沙さんは藁にもすがる思いで東京女子医科大学女性生涯健康センター(現在は閉院)・リハビリメイク外来のドアをたたいた。

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