延伸区間の6駅の中で、最も鮮烈な個性を感じさせるのは加賀温泉駅(石川県加賀市)だ。「赤」を基調としたデザインは、これまでの新幹線駅にない艶やかさを感じさせる。
市のサイトによると、伝統的な街並みにみられる紅殻格子や瓦屋根、白壁の色彩を組み合わせてあり、「温泉郷の風情と城下町の歴史を感じさせる駅」をうたう。
正面に当たる温泉中央口にはこれから、市のシンボルとして「加賀温泉駅都市施設」(ガレリア)が建設される。加賀地方に特徴的な「赤瓦」を屋根に載せた、木造・ガラス張りの建物に、日本的回廊と庭園を組み合わた「世界にアピールできる駅前風景の創出」を目指す。
一方、加賀温泉駅の隣駅・芦原温泉駅(福井県あわら市)は「黒」を基調とした、重厚で落ち着いた色合いが印象的だ。2021年、駅舎と一体感のあるデザインの市営立体駐車場が正面に当たる西口に完成済みで、2022年4月には西口交通広場の使用を開始している。
現在は駅の東西を結ぶ自由通路と、隣接する市の賑わい施設「アフレア」の工事が行われている。さらに、駅西口に今秋、富山県の企業が経営する8階建て・126室のビジネスホテルがオープンする。
白山の山並み連想
小松駅(石川県小松市)は、「和」のイメージが強い各駅とはやや趣が異なる。
鉄道・運輸機構のサイトによれば、新幹線駅舎のデザインイメージは「慣れ親しんだ白山の雄大な山並みと未来を感じるターミナル」。確かに白山の山容を連想する一方、メカニカルな質感は、例えば「巨大な機械仕掛けの白鯨」にも見える。
真向かいにある小松製作所の人事育成・展示施設「こまつの杜」には、明るい黄色の巨大ダンプトラックが展示されており、駅舎と並んだ光景は、どこかSF映画の一場面のような雰囲気を醸し出す。ものづくりの街・小松らしい景色と言えるかもしれない。
小松駅前は「歴史」も大きなキーワードだ。駅一帯は弥生時代中期における北陸地方最大級の環濠集落「八日市地方(ようかいちじかた)遺跡」の上にあり、出土した土器や石器、木製品1020点が重要文化財に指定されている。
訪問時は駅前の再開発事業に伴う発掘が行われており、6月下旬には珍しい弥生時代中期の石製指輪が出土して話題を呼んだ。
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