北陸新幹線延伸「1年遅れ」で進む新駅と街の表情 小松から敦賀に巨大駅舎、地域の「顔」出そろう

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終点・敦賀駅(福井県敦賀市)は巨大さが際立つ。在来線特急と新幹線を1階と3階で乗り換えられるよう設計変更された結果、構造が複雑になったことも手伝って、延伸延期と建設費増嵩の大きな要因となった。

巨大さが際立つ北陸新幹線敦賀駅(筆者撮影)

在来線と北陸新幹線の乗り換え客は1日2万7000人、年間980万人を見込む。その流れをさばくため、エスカレーターを26基、エレベーターは6基設置する。

延伸区間で最も大きい島式・2面4線のホームを持ち、長さ312m、駅舎の幅は44mある。高低差が大きい地形をトンネルと高架橋で結んだため、レールの高さは7階建てのビルに相当し、ホームを覆う「旅客上屋(うわや)」の最上部は地上約37m、12階建ての高さに達する。

威容から「要塞」とも呼ばれる敦賀駅。最上部の屋根は市の鳥・ユリカモメが飛翔する姿だという。開業1年遅れのギャップをどう飛び越えるか。北陸新幹線の新しい「顔」が間もなく見えてくる。

持続可能な地域づくりの拠点に

福井県新幹線建設推進課の担当者は「開業が1年遅れたことは残念だったが、開業に向けて工事は順調に進んでいると聞いている。高架橋などの土木工事は完了し、現在、レール敷設工事や電気工事が進められている。また、県内の芦原温泉、福井、越前たけふ駅の外観も姿を現して、県内の風景が大きく変わってきた。県民も新幹線が来るという実感が強くなってきたのではないか」と語る。

駅舎は地域のランドマークとなり、シビックプライドの拠り所ともなる。とはいえ、駅舎や周辺整備はあくまでも地域づくりの「手段」だ。地元の人々や各地からの利用者が心を寄せ合い、力を合わせる仕組みと意識をどう生み出していくか。「持続可能な地域づくりの拠点」としての駅の活用法検討が急務だ。

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櫛引 素夫 青森大学教授、地域ジャーナリスト、専門地域調査士

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くしびき もとお / Motoo Kushibiki

1962年青森市生まれ。東奥日報記者を経て2013年より現職。東北大学大学院理学研究科、弘前大学大学院地域社会研究科修了。整備新幹線をテーマに研究活動を行う。

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