2031年春の北海道新幹線・札幌延伸へ、道南2町の準備が活発化している。
在来線駅に新幹線駅が併設される長万部町と、新八雲駅(仮称)が誕生する八雲町。対照的な環境ながら「観光客を呼び込む起爆剤に」といった、ありがちな言葉は聞こえてこない。開業を契機に、持続可能な地域社会をどう再デザインするか。人口減少と高齢化への危機感が共通の背景だ。
減り続ける道南2町の人口
長万部町と八雲町はともに、渡島総合振興局(函館市)管内の北部に位置する。税務署、警察署などの出先機関は八雲町に集まり、病院の規模も大きい。他方、長万部町は東京理科大学のキャンパスが町中心部を見下ろす高台に建ち、異彩を放つ。
全国的な知名度は、鉄道の分岐点であり「かにめし」でも知られる長万部町がやや高そうだ。しかし5月末時点の住民基本台帳人口をみると長万部町4921人に対し、八雲町は1万5167人と3倍以上の開きがある。高齢化率(2021年1月1日現在・北海道庁まとめ)も長万部町は44.5%に達し、八雲町の35.7%を上回る。
長万部町の人口ビジョンによれば2030年の推計人口は4103人、高齢化率は41.8%だ。一方の八雲町は1万2342人、高齢化率は38.3%と予測されている。両町にとっての開業対策は、「人口減少・高齢社会対策」の色合いを帯びざるを得ない。終点の巨大都市・札幌とは大きく異なる事情だ。
かつての人口は、長万部町が1万5349人(1965年)、八雲町が3万5160人(1960年)。半世紀余りの間に長万部町は3分の1以下に、八雲町も4割ほどに減っている。
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