温暖化が心配な人がたじろぐ、やはり過酷な現実 摂氏50℃の日常、世界各地で観測される異常気象

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つい最近も、埼玉県鳩山町で記録的な雨が降り、6時間で観測史上第1位となる降水量を記録している。例年の7月に降る2倍の雨に相当する。今年は梅雨明けが早く6月から7月にかけて日本を猛暑が襲ったが、世界の異常気象も目立っており、スペインでは45℃を超え、昨年記録した史上最高気温の47.4℃を超す勢いだ。英国でも史上初めて40℃超えを記録し、アメリカでも歴史的な高温が至るところで起きている。

ちなみに過去の異常気象では、2020年6月20日にロシア・サハ共和国のベルホヤンスクで、シベリアにもかかわらず38℃の最高気温を記録し、北極圏の観測史上で最高気温を記録している。永久凍土は解け、山火事が頻発する状況だ(日本経済新聞夕刊、2021年12月15日)。同じく、2021年8月11日にはイタリアのシチリア島南部のフロリディアで48.8℃を記録している。欧州史上最高気温だが、今年の夏本番にはこの記録も更新される可能性がある(日経新聞夕刊、2021年8月12日)。

「平均気温+2℃」で、人類は後戻りできないレベルに?

今年の2月28日に公表された、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の報告書は、今後の地球温暖化への対応策の指針となるだけに、世界中の政府に注目された。気候変動による影響が細かく記載され、今後はIPCCのシナリオに沿って気候変動と立ち向かう必要が迫られた。

IPCCの報告書は今回で第6次になる。「産業革命前に比べて平均気温が『2度』上昇すれば、今世紀末までに8億人から30億人が深刻な影響を受ける」とシミュレーションしたことで話題になったが、食糧生産や生物の存続に至るまで、その影響は深刻なものと報道された。世界の専門家集団であり、ノーベル平和賞も受賞している。たとえば、2050年ごろまでに起こる現象を、同報告書では具体的に次のように警告している。

1.今後20年以内に世界の平均気温は1.5度上昇する
2.温暖化による海面上昇によって10億人以上に洪水リスクが発生する
3.気候変動によって農業や企業の収入源で最大8000万人が飢餓に苦しむことになる

同報告書では、さらに2100年までに5つの温度上昇シナリオを想定しており、それぞれの状況に応じた気温上昇を想定している。たとえば、次のようなシナリオが想定されている(経済産業省資料より作成)。

① 1.4℃(目標は1.5℃)……2050年ごろまでに温暖化ガスの排出をゼロにした場合
② 1.8℃……2050年以降に温暖化排出ガスを実質ゼロにできた場合
③ 2.7℃……各国がCO2排出目標を達成した場合、2.7℃は最良推定値
④ 3.6℃……気候変動政策を導入しない場合
⑤ 4.4℃……化石燃料に依存し続けた場合

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