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民主主義は「物語への過剰な愛情」と共存できるか 「ストーリー」のあふれる世界と権威主義の勝利

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ならば遅かれ早かれ、異なる物語を信じる人々を「敵」と見なして争いだすのは自明の理。

これは社会的統合の基盤が崩壊することにほかなりません。

だから「ストーリーが世界を滅ぼす」と言うのです!

世界は権威主義のものかもしれない

「カスタマイズされた危険な物語」が氾濫する中、どうやったら社会的統合を維持することができるのか?

ゴットシャルは物語について、さまざまな角度から論じることで、答えを探し求めます。

解決策を見出すのは容易ではないという結論にいたるのですが……

 

そうとも言えないのですよ。

少なくとも、社会的統合を維持することだけが目的ならば。

政府が人工知能を駆使して、メディアやネットにあふれる物語から、社会秩序を破壊しかねない危険なものを排除してしまえばよろしい。

ゴットシャル自身、第6章「『現実』対『虚構』」の終わりで、中国ではこのような状況が成立しつつあるのではないかと論じています。

 

だが上記の解決策は、彼にとって受け入れがたい。

これは権力による自由の抑圧を肯定するものであり、民主主義、とりわけ自由民主主義にたいする権威主義の勝利を意味するからです。

すなわち「民主主義こそ政治体制の中で最も望ましく、世界全体に広がる価値を持つ」という、おなじみの物語の否定につながる。

自由民主主義の総本山を自任するアメリカ人としては、たしかにイヤでしょう。

 

だとしても物語の虚構性や、そこにひそむ危険性を論じようとしながら、「言論の自由と、民主主義的な社会体制は共存できる」という物語について、正しさを自明視するかのごとき姿勢を取るのはいかがなものか。

ゴットシャルはゴットシャルで、ストーリーテリングの罠に陥っているのです。

まさにパラドックス。

 

物語はいずれ世界を滅ぼすのかもしれません。

ただし真っ先に滅びるのは「自由民主主義体制」という特定の世界です。

そして世界全体が、自由民主主義体制のもとにあるわけではない。

これは何を意味するか。

 

上記4行は、ひとつの筋立てを持っています。

つまりストーリー。

このストーリーからどんな指針を見出すのか、それこそ本書が真に問いかけていることなのです。

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