部下をやる気にするオンライン時代の傾聴のコツ 「リモートで部下と意思疎通できない」は言い訳

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検索することをいっときやめて、自分の考えや手持ちの情報を整理する。そんな「静かな時間」を提供するのが、オンライン時代に求められる「傾聴」の在り方だと考えています。さらに言えば、オンライン時代では、話を聞く相手はすでに「答えのもとになる情報」は全部持っていると考えて接してみるとよいと思います。

なので、基本的に介入は要らない。黙って話を聞けば、やがて自分自身で考えて一番良い決定にたどり着くから、それを手伝えばオーケーというスタンスでいきましょう。「傾聴の本質は、相手に静かな時間を提供すること」。それはつまり、相手をいっとき、うるさすぎる情報の海からすくい上げるということなのです。

やる気がある部下であっても、上司が問題を引き取ってしまったり、会話の先取りをしてしまうことが続くと、そのうち自分で考えなくなってしまいます。そうです。「指示待ち部下」のできあがりです。

そういう指示待ち部下にとっては、「『好きにやっていいから』なんて、もはや日本語ですらない」。そう耳にしたこともあります。これは私の印象ですが、新型コロナの影響でリモートワークが増えたことで、この「指示待ち部下」が増加している気がします。

上司からは「林さん、オンラインだと部下との意思疎通が難しい。つい、指示で終わってしまいます」という声をよく聞くようになりましたし、営業からも「お客さんと雑談ができず、商談が難しくなった」という声を聞きます。

でも、それって私に言わせれば、どちらも言い訳にしか聞こえません。厳しいようですが、「もともと話を聞くのがうまくなかっただけでしょ」と……。どうか、リモートワークを部下の話が聞けない言い訳にしないでください。

余談ですが、私は日本に「指示待ち社員」が多いのは、日本の学校教育も原因の1つではないかと思っています。

日本ではテストでもなんでも、正解が決まっていて、それを導き出さないと不正解というスタンスです。理科なら「次のうち積乱雲はどれか?」みたいな設問が出題される。これが欧米だと、「この雲を見て洞察されることは何ですか?」「その洞察から、質問を1つ考えなさい」というような問題が出る。

つまり、自分で考えることが重視される。この「自分で考えさせること」が、部下の話を聞くときのポイントなのです。

上司は部下に指示という固定観点を手放す

上司も部下も陥りがちな落とし穴が、「上司は部下に指示を出すもの」という固定観念にとらわれてしまうことです。

部下の立場からすれば、「上司は指示を与えてくれるもの」と考え、自分で考えるのをやめてしまう。落とし穴に落ちないための対策は、この「上司からは指示を与えてもらえるものだという『指示待ち部下』の固定観念を壊す」です。

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