「第二次性徴並み」中年の大変化をどう受け入れる 「鏡の前が苦痛」35歳漫画家が美女を目指した先

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中年の老化を受け止めるには、多くの過程を経る必要がある。写真はイメージです(写真:UYORI/PIXTA)

漫画家の田房永子さんは、第2子を出産した35歳の時に「急激に見た目がオバサンになり、鏡を見るのが辛い気持ちがピークになった」という。加齢による体型の変化に気持ちが追い付かず、自分がうつった写真や鏡を見ることができなくなってしまった。

田房永子さんの著書『いつになったらキレイになるの?~私のぐるぐる美容道』(扶桑社BOOKS)では、「自分の姿を好きになりたい」と一念発起し、断食道場、エステ、パーソナルカラー診断、ZUMBA(ズンバ)などを体験し、奮闘する様子が描かれる。

しかし本書は単なる美容ハウツーやダイエット成功体験談に帰結しない。田房さんは「ゆるふわコンサバ」になろうと訪れた美容院で「90年代風刈り上げヘアー」にしてもらってしまう。そんな自分に戸惑い「私が本当に好きなファッションって何だろう?」と自問自答する。

また、エステティシャンから「ずっとそんな脚でいいんですか?」と心ない言葉をかけられた時は、「本当になりたい自分って?」「モデルのような美女になりたいんだっけ?」と問い直す。そして「年齢を重ねていく自分の姿を気に入っておきたい」という自分の望みに気づき、その方法を模索するようになる。

自分が本当に好きなものや、やりたいことを実行するうちに、「年齢を重ねた今の自分に似合う服装」や、「将来おばあさんになったら身に付けたいもの」など、加齢を受け入れるヒントを見つけていく。そして現在43歳になった田房さんは本書の冒頭で「『結局(キレイには)なりませんでした』でも(中略)自分の姿がたまに好きにはなりました(サイコー)」と書いている。

加齢を受け入れ、自分が自分であることを楽しんで生きることは当たり前のようでとても難しい。これまで「若々しく美肌で痩せた美女を目指しましょう」という価値観に晒されてきた今の30代、40代の女性達には、さらにそれが困難なのかもしれない。田房さんはどうやって「自分の姿がたまには好きになれた」のか?

中年の老化は「第二次性徴」並みの衝撃

田房永子さんは35歳の時、ふとスーパーマーケットの鏡に映る自分を見て大きなショックを受けたという。

「まさに『オバサン』という感じ。二の腕や背中に肉が付いて『自分が思っている自分の見た目』と全然違うのが耐え難かったです。昔から自分の姿が好きな方ではなかったのですが、鏡や写真にうつった自分を見るのが苦痛になりました。

仕事と子育てで余裕がないのに『外見をなんとかしないと』と焦って追い詰められていました」

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