「遺体画像」を見せる授業、なぜ問題なのか 教師は年齢に応じた許容範囲を認識すべき

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多田猛弁護士:PTSDになったら、どう責任を取る?

「今回のような見せ方は、常識の範囲を超えているのではないか。『戦争を題材にした本や映画などでは、戦争の悲惨さを伝えるために死体の描写をされることはある』『汚い物を隠す社会はダメだ』という意見もあるようだが、年齢に応じた許容範囲を考慮しなければならない。

たとえば、ゲームや映画も、残酷なシーンがあるものについては年齢制限を設けている。それを考えれば、幼い子に残酷な画像を見せるのはおかしいというのが常識だ。残酷な画像を見せることで、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になったら、教師はどう責任を取るのか。刺激を受けて犯罪に走ったり、下手をすれば模倣するかもしれない。

教諭は『見たくない人は見なくていい』と言ったそうだが、小学生くらいの『児童』と呼ばれる子どもたちは教師への批判能力がなく、真面目だ。高校生くらいの子どもなら、自分の判断で見る・見ないを選択できるだけの主体性も育っているだろう。しかし小学校の授業で、先生が勉強のために使っている教材について『見なくていい』と言われても、見ない子どもはいないのではないか。

『見たくない人は見なくていい』とか『閲覧注意』とされるものに限って、見たくなるという人間の心理が働く場合もある。そうして子どもが見てショックを受けた場合、学校や教諭にも責任追及のリスクが生じかねない。小学校の授業でこの画像を扱うことの意義をよく考えるべきだったと思う」

渋井哲也氏:素材の見せ方に問題があった

「見せたことが悪いというより、ぼかしなしの画像を見せるまでの過程で、児童や保護者への配慮があったかが問題だ。児童や保護者に事前に相談するなどの配慮をし、さらに『教育上どうしても必要だと判断して見せました。責任は学校がとります』ということであれば、この授業を行う意味があったのではないか。

ただ、素材の見せ方には問題があったと思う。この授業では、報道のあり方を議論する一環として、『画像にぼかしをいれるか否か』を議論したということも報じられているが、それなら、ぼかしがある画像を使って、『このぼかしを取るべきか否か』を議論しても良かったのではないか。なぜ、ぼかしなしの画像が前提だったのか、疑問に思う。

教師が『見たくない人は見なくていい』と言ったとき、5人の子が下を向いたという。見たくない児童は少なからずいたわけだから、その子たちへの配慮があってもよかったと思う。また、報道のあり方を考えるのなら、人質事件ではなく、ほかの画像を代わりに使うこともできたのではないか」

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