「スマホをいじってばかりの人」のあごが危険な訳 長期のマスク生活で顎関節症に気づかないことも

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昔の顎関節症の治療はマウスピースを使ったり、関節に注射や内視鏡手術するなど、歯科医師が主導となり患者さんに肉体的負担をかけるものが主流でした。しかし病態が解明されるにつれ、患者さんが日常生活を見直すことで症状が軽くなることが判明し、患者さん主導の治療に変化してきました。

ただし顎関節症のさまざまな負担の原因は患者さんの生活習慣によるものなので、自身で原因を見つけて習慣を改善することは困難です。歯科医師による生活習慣のヒアリングや診察を通して診断し、原因を探っていき、患者さんに対策について相談します。

スマホの長時間利用を避けるには

スマホを長時間使用してしまう理由の1つはスマホへの「集中」で、気がつくと知らないうちに長時間になってしまうケースが多いです。無意識なので自覚することは難しいため、スマホの環境システムを改善し対応します。有効な方法が「時計アプリ」で、経過した時間がわかるようにアラームやタイマーなど自分と相性がいい機能を使い、スマホ操作前に30分ごとにスマホ画面に時間が表示されるようにします。

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スマホに表示されたら10秒ほどスマホを置いて、肩を後ろに開いて肩甲骨を広げ、上を向いて首を伸ばし、それから姿勢を正し口をゆっくりスリーフィンガーの大きさまで開けて、あごへの負担を軽くしましょう。さらに生活習慣の見直しであごへの負担が減り顎関節症が改善しているかどうか、定期的に歯科医院で診てもらうと効果がわかりやすいです。

筆者が顎関節症について解説した日本テレビ系「スッキリ」の特集で、フリーアナウンサーの高橋真麻さんが慢性化した顎関節治療を長年行っているが根本の解決になっていないと公表したように、慢性化すると治療に数カ月から数年かかることもあります。

また症状が偏頭痛として表れ長年悩まされる人も少なくありません。コロナ禍でスマホの長時間使用という新しい負担が加わり顎関節症リスクが上がっている中、スマホの使い方を工夫して顎関節症にならないように注意しましょう。

宮本 日出 日本顎関節学会代議員・専門医・指導医

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みやもと ひずる / Hizuru Miyamoto

1965年、石川県金沢市生まれ。愛知学院大学歯学部卒業後、石川県立中央病院歯科口腔外科に勤務。1994年、豪アデレード大学歯学部で研修し、1996年から同大学歯学部口腔顎顔面外科招待研究員に。2000年から明海大学歯学部の教員に就任。2007年、幸町歯科口腔外科医院を開業。国内外に160篇以上の論文を発表している。著書に「お口からの感染予防」(ギャラクシーブックス)、「レモン水うがいダイエット」(あさ出版)

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