「リーダーのコミュ力」について研究してきた筆者にとって、安倍氏の「人を惹きつける力」は刮目に値するものであり、これまで何度もその分析記事を執筆してきました。
日本人はコミュ力を人の表層ととらえがちですが、「人の魅力」「人を動かす力」そのものです。それは「スピーチ力」だけではなく、「会話力」「雑談力」「ほめる力」「勇気づける力」など、リーダーシップの源泉にほかなりません。
「卓越したスピーチ力」は何十時間もの練習あってこそ
彼の外交面での評価を高めた要因のひとつが「卓越したスピーチ力、演出力」でした。
事実を淡々と感情を込めずに話す「インフォーマー型」(Inform=知らせる)の政治家が多い日本で、彼は、極めてレアな「パフォーマー型」でした。
官僚ではなく、元ジャーナリストのプロのスピーチライターが、流麗な英語のスクリプト(原稿)を準備し、スピーチライターが吹き込んだ音声を何度も聞きながら、時に風呂に入りながら、時に昭恵夫人を前に、何十時間も練習したといいます。
アメリカ上下両院など世界の各地で行った渾身の英語スピーチは、聴衆の琴線に触れる「情感を呼ぶストーリー」や「聴衆への呼びかけ」などが盛り込まれ、そのエネルギーのこもったパフォーマンスも、高く評価されました。
リオデジャネイロオリンピック閉会式の安倍マリオの捨て身の演技も、世界中の人の記憶に刻み込まれました。
彼のコミュニケーションの最大の強みは「おだてる力」にあったように感じます。「周りにいる人をいい気分にさせる天才」だったのです。
「コミュニケーションの主役は自分ではなく相手」。これは「コミュニケーションの基本形」ですが、彼の海外でのスピーチには徹底的に聞き手視点に立ち、相手を立て、喜ばせる工夫が詰まっていました。
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